#０８ ページ8
総合病院―
忍足はＩＣＵに運ばれた。
その後、意識が戻るまでの数時間、山内は病院で待っていた。
医「…忍足さんの、ご家族ですか？」
山「いえ、職場仲間です。」
医「…忍足さんが、今までどのような環境で育ったか、ご存じでしょうか？」
山「親から、虐待を受けている、としか…」
医「そうですか…ありがとうございます。」
医者は山内に一礼し、その場を去った。
山内は、ガラス越しに忍足を見守っている。
晃『喜怒哀楽の基礎感情から、友情、愛、恋、学力の邪魔になるものはいらないんだよ。』
あの言葉が、どれだけ忍足を苦しめ縛りつけていたのだろうか。
山「…クッソ、」
バン、と壁を拳で殴った。
山「感情なんかなけりゃ、只の人形じゃねぇか…」
あの時、もっと忍足を説得しておけば、と後悔の念がよぎる。
その時だった―
医『意識が回復しました。自発呼吸あり。』
山「忍足っ！」
彼女は、うっすらと目を開けていた。
『…や…うち…ん…』
か細い声で、山内を呼んだ。
山「井沢さん、忍足の意識が回復しました。」
井『りょうかーい。こっちも丁度片付いたよ。今からそっちに行く。』
山「分かりました。場所は、509号室です。」
一般病棟に入った忍足の所へ、山内は足を進めた。
駆け足で病室に向かい、扉を開けた。
医「…意識は回復しましたが、腕の骨折等で全治二カ月はかかると思います。」
山「…分かりました。ありがとうございます。」
病室には、山内と忍足の二人だけになった。
山「忍足…」
「…ごめ、なさい…迷惑、かけて…」
山「…迷惑じゃねぇよ。」
山内は彼女の頭をそっと撫でた。
山「…よく頑張った、お疲れさん。」
「…はい。」
彼女が、いつ感情を戻し、自分を許せるのかは分からない。
しかし、山内は、一人の『人間』として戻るまで見届けることを決めた。
井「…ちゃんと、戻るといいね、忍足君。」
小「…そうですね。というより、晃道の事どうするんですか？」
井「それは、ちゃーんと明日止めるよ。」
病室の外で小田切と井沢は話していた。
南『というか、山内さん絶対に忍足さんの事好きでしょ。』
井「南くん、そういう事言ったら…」
山『南、あとで覚えとけ。』
南『ひぃぃぃ！』
井「ほーら、言わんこっちゃない。」
小「日ごろの行いなんじゃなーい？」
この日の最期は、他愛もない話をして、一日が終わった。
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kusune(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月21日 6時) (
レス) id: 8029859771 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってください (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってくださいp(^-^)q (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
莉南 - いつも楽しく見させてもらっています！ネタとして提案なんですけど田村さんの死で悲しみに暮れている主人公を山内くんが助ける(慰める)シーンとかどうでしょうか？ これからも頑張ってください！ (2018年8月22日 2時) (レス) id: f108a71a78 (このIDを非表示/違反報告)
衿豪(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！岡崎くんとの絡みですね！時間は少々掛かりますが、頑張って書かせて頂きたいと思います！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: c5415b57d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衿豪 | 作成日時：2018年7月27日 17時
