#１７ ページ18
扉を開ければ、傾れこむ女の姿があった。
「……」
忍足は無言で、女を見つめた後に下がった。
井「…何か、いう事はありますか。」
女はぱっと顔を上げ、忍足を見た。
女「…ごめん、なさい…」
「…そんな、嘘で固められた言葉なんて要らない。」
そう忍足が言うと、頬に貼ってある湿布を取った。
其処には、頬から首筋にかけてある一本線。
それは、痛々しいものだった。
「……反省できるなら、最初から、傷を付けることなんてないでしょ。」
山内がそっと背中に隠す。
女「最後に…一度だけ、お母さんって言って…？」
「何度も言った。だから二度と言わない。大っ嫌いだよ。」
それだけを言い、忍足は部屋を去った。
井「…貴女がしたことで、娘さんは人間として何かを踏み誤った。」
女は、ずっと泣いている。
井「あれがあの子の答えです。ずっと、認めて貰おうと頑張った。けど貴女は認めなかった。そうでしょ？」
女「でもっ」
小「アンタの言い訳なんてもうウンザリ。後妻だから何？娘の顔に一生傷残しておいて、誰が納得して許すの？そんなに世の中甘くないの。」
女は、ゆっくり立ち上がり深くお辞儀した。
そして、その場所を去った。
井「何とか、落ち着いたね。」
小「ほんっと疲れた……」
東「お疲れ様です。」
廊下から東堂が歩いてくる。
東「忍足さんが危険人物に弾き出されるのは、晃道と母親が目の前にいる場合のみということが判明しました。」
井「つまり自身に害を加えた人、ということですね。」
東「ある意味、資料課が忍足さんの家庭のような役割を果たしているのかもしれませんね。」
東堂は、忍足の後ろ姿を見てふっと笑みを溢した。
井「あの子が、無事に全うな人生を遅れたらいいですね。」
東「そうですね。」
彼女にとって資料課は家族であり家庭でもある。
彼女にとってやっと見つけた居場所なのだろう。
井「資料課が忍足君の家庭なら、忍足君が自分でいられるように、サポートしないとね。」
小「そうですね。」
井「さぁて、仕事に戻ろっか。」
南『井沢さん、ちゃんと資料の打ち込みしてくださいよ。』
井「うわぁ、いきなりお説教はやめてよ南くん。」
南『言わないと井沢さんやらないでしょ。』
井「…ちょっと俺逃げていいかな。」
小「そんな事してないで、さっさとしますよ。」
またこうして、資料課には平凡な日常が戻って来た。
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kusune(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月21日 6時) (
レス) id: 8029859771 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってください (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってくださいp(^-^)q (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
莉南 - いつも楽しく見させてもらっています！ネタとして提案なんですけど田村さんの死で悲しみに暮れている主人公を山内くんが助ける(慰める)シーンとかどうでしょうか？ これからも頑張ってください！ (2018年8月22日 2時) (レス) id: f108a71a78 (このIDを非表示/違反報告)
衿豪(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！岡崎くんとの絡みですね！時間は少々掛かりますが、頑張って書かせて頂きたいと思います！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: c5415b57d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衿豪 | 作成日時：2018年7月27日 17時
