#１５ ページ16
Side Izawa
一瞬、東堂さんの言葉を疑った。
忍足君が危険人物としてはじき出されたならば、対象は簡単。
目の前にいる母親―
それしか考えられなかった。
視線が忍足君に一斉に集中し、忍足君は動揺した。
今まで、周りの冷たい目しかない場所で生きていたなら恐怖でしかない。
「…行き過ぎた躾は、人を壊し、狂わせる…ね。」
行き過ぎた躾、の騒ぎではない。
ただ、親に愛されることを望んだ子が不幸な結末を『辿らざるをえなかった』んだ。
晃道の時のように、怒りがこみあげてくる感覚が分かった。
山内君は、走り出した忍足君を追いかけた。
部屋には、俺、小田切君、田村さん、そして忍足君の『形だけの』母親。
「まぁ、一回落ち着いて話しましょうよ！」
俺は散らかった机と椅子を元に戻し、座った。
そして、母親に座るよう促した。
「で、ご用件は何ですか？」
正面に座った母親に対し、俺はこう言った。
女「何って…可愛い私の娘に会いにきたんですよ？文句ありますか？」
「可愛い、と思えるならあんなことしませんよね？どういう事か説明してもらえませんか？」
殴りたい衝動を抑え、俺は確信に迫ろうとした。
女「ただ、どうもあの子が迷惑を掛けているようにしか見えなくて…『貴方はこの職場に要らない子だ』という事を身を持って知ってほしかったんです…」
この言葉に、俺と小田切君が切れた。
小「あのさ、アンタが思ってる程忍足さん足引っ張ってないから。寧ろ、アンタのそのふてぶてしい態度となんにも思っていない言葉が嫌いだわ。」
「小田切君の言うとうり、忍足君が足を引っ張ったことなんてありません。寧ろ、我々は助けてもらっているんです。」
小田切君はキレ気味で物を言った。
俺も言いたいが、まだこの女は本性を見せていない。
最期の一手で絶対に終わらせてやる。
「最後なんですけど…忍足君がずっと頬に着けている湿布は、何ですか？」
女「あれは…娘が怪我をして帰ってきて傷が残ってしまって以来、ずっと隠しているんです。」
嘘をつけ、あの傷を作ったのはお前だ。
机を思いっ切り叩き、声を荒げようとした手前で小田切君が入った。
小「いい加減嘘はやめてください。別室に移動してから、話を聞きます。大人しく、自首してくれれば、早く帰れますよ。」
女を宥め、違う部屋へ移動させた。
田「…酷い母親も、いるものなんですね。」
「特に忍足君の場合はね。酷いどころじゃないよ。」
静かに、俺は窓の外を眺めた。
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kusune(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月21日 6時) (
レス) id: 8029859771 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってください (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってくださいp(^-^)q (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
莉南 - いつも楽しく見させてもらっています！ネタとして提案なんですけど田村さんの死で悲しみに暮れている主人公を山内くんが助ける(慰める)シーンとかどうでしょうか？ これからも頑張ってください！ (2018年8月22日 2時) (レス) id: f108a71a78 (このIDを非表示/違反報告)
衿豪(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！岡崎くんとの絡みですね！時間は少々掛かりますが、頑張って書かせて頂きたいと思います！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: c5415b57d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衿豪 | 作成日時：2018年7月27日 17時
