#１４ ページ15
東『井沢さん。』
通信機越しに東堂の声がした。
東『…忍足さんが、危険人物として弾き出されました。早急に、止めてください。』
一斉に忍足の方向を向く。
井「まぁ、単純に考えて、目の前の人でしょ。」
「……ぁ、ゃっ…！」
小刻みに震えた彼女は、一目散に部屋から飛び出した。
山「忍足っ！待てッ！」
その後を山内が追った。
恐らく、一瞬にして集まった視線が怖く見えたのだろう。
井「…行き過ぎた躾は、人を壊し、狂わせる…ね。」
井沢は、山内の追っていった方向を見つめた。
山内が忍足を追いかけて、来た場所は市街地。
しかし、忍足がたどり着いた場所は行き止まり。
忍足は足を踏みとどめた。
後ろを振り返ると山内がいた。
山「…忍足…」
「…山内さんは、誰にも愛されない私を、嫌いますか…？」
山「忍足っ！」
「そうですよね、顔に傷があったら尚更ですよね。」
山「おいっ！忍足！」
彼女の腕を引っ張り、自分の胸元に顔を当てる。
そして、強く抱きしめた。
山「愛された事がないからなんだ、顔に傷があるからなんだっ…！お前はお前だっ！誰もお前を嫌う事なんてねぇ！それじゃダメなのかよっ！」
そして、ふと腕に重みを感じた。
意識を失ってるだけなのか、目をとじ、静かに呼吸をしていた。
山「…背負い込み過ぎだ、馬鹿野郎…」
そして、優しく彼女を背負った。
山「忍足、無事確保しました…あの女は？」
井『ん〜…若干、ヒステリック？というか、感情が不安定すぎるね。別の部屋に移したけど…』
山「今、忍足意識を失ってるのか分かりませんが…寝てます。返せますか？」
井『…今、小田切君が話し聞いてるし、大丈夫だと思うよ。』
山「分かりました。今から戻ります。」
山内は、忍足を背負いゆっくり歩きだした。
― 心まで 躾られた 悲しみの記憶
本当は 君に出来ないことなんてないのに ―
帰りに通った店の中からこんな歌詞の歌が聞こえた。
皆に出来て、自分が出来ない事なんか何にもないんだ。
愛された事がなくても、君にはきっと生きる道がある。
何も無くたっていいんだ、生きろ。
そう言ってくれている気がした。
あの家は家じゃない、自分を縛るための牢屋に過ぎない。
自分の家は、未然犯罪潜入捜査班…資料課だ。
そう思うと心が軽くなった気がした。
目覚めて、前までいた場所に戻れば、
其処には、憎たらしい母親もいなかった。
また、日常が戻った。
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kusune(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月21日 6時) (
レス) id: 8029859771 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってください (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってくださいp(^-^)q (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
莉南 - いつも楽しく見させてもらっています！ネタとして提案なんですけど田村さんの死で悲しみに暮れている主人公を山内くんが助ける(慰める)シーンとかどうでしょうか？ これからも頑張ってください！ (2018年8月22日 2時) (レス) id: f108a71a78 (このIDを非表示/違反報告)
衿豪(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！岡崎くんとの絡みですね！時間は少々掛かりますが、頑張って書かせて頂きたいと思います！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: c5415b57d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衿豪 | 作成日時：2018年7月27日 17時
