#１０ ページ11
side Yamauchi
最初は、よく分からない奴だった。
笑いもしなければ、怒りもしない。
それに、口癖は「すいません」。
親からの軟禁と虐待。
俺よりも若いのに、こんなに重いものを背負っていた。
忍足と瀧の住所が一緒と分かった時のアイツは何か可笑しかった。
あの時、異変に気付いてよかったと思う自分がいた。
アイツが家に戻るって言った時も、俺は必死に止めた。
家に戻ったアイツはもうボロボロで、
俺は、「こいつを守らないと」と思った。
今日の同窓会で、八坂を止める時に
忍『…山内さん、電話繋いでください。お願いします。』
そう言われた時、俺は一瞬戸惑った。
でも、八坂に攻撃的な事をさせるわけでもない
俺は、承諾し、電話を繋げた。
忍『…八坂さん。』
八「誰っ！アンタも邪魔をしようとするの！？」
『…私、アンタの人生を狂わせた奴の娘なんだけど。』
俺も聞いたことのない、低く冷たい声で、アイツは話していた。
忍『…別に貴女が、そこの人を殺したって私には関係ないです。だけど…』
忍足が声を詰まらせた。
「…感情が、生きてるだけ、人間らしくて、いいじゃないですか、貴女の心は、まだ、狂っていない。」
忍足の声は、今にも泣きそうな、か細い声だった。
その声で、俺は八ッとした。
「もしかして、忍足は泣きたいんじゃないか」
俺の脳裏にその考えが浮かんだ。
忍『…貴女には、帰る仲間と、子供たちがいる。ここで、そんな大切なものをなくさないで、』
井沢さんに一言、断りを入れ忍足のいる車へ走った。
俺に生まれたこの感情は何なのか、と考えた時に
一つ、思い当たるものがあった。
その感情は、『恋』だった。
あり得ないってことは分かっていた。
こんなオッサンが、女子高生に惚れるなんて早々無いことだ。
アイツが、人間らしくなればいいと、最初は思っていた。
それは、全く違っていた。
これからも、アイツの傍に居たいと思ってしまった。
「忍足っ！」
忍「…ぁ、山内、さん…お疲れさまです。」
涙ぐんだ眼で強がろうとする忍足を、俺は抱きしめていた。
「…泣けよっ！自分を許して、素直になれよっ！」
びっくりしているのか、忍足は動かない。
忍「山内さん…自分を許すって…なんなんですか…？」
もう、自分が何か分からない。と忍足は言った。
親に何年も拘束され、自分を見失ったのか、そう思ってしまった。
俺は、忍足を抱きしめ、背中を優しくさすってやった。
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kusune(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月21日 6時) (
レス) id: 8029859771 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってください (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
知沙(プロフ) - 楽しく見させてもらっています。小田切さんと女子トークしてるところとか読んで見たいです。これからも頑張ってくださいp(^-^)q (2018年8月22日 21時) (レス) id: 0f537105a8 (このIDを非表示/違反報告)
莉南 - いつも楽しく見させてもらっています！ネタとして提案なんですけど田村さんの死で悲しみに暮れている主人公を山内くんが助ける(慰める)シーンとかどうでしょうか？ これからも頑張ってください！ (2018年8月22日 2時) (レス) id: f108a71a78 (このIDを非表示/違反報告)
衿豪(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！岡崎くんとの絡みですね！時間は少々掛かりますが、頑張って書かせて頂きたいと思います！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: c5415b57d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衿豪 | 作成日時：2018年7月27日 17時
