狂犬と私 (ページ36)

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36話ページ36

Aside

紅野「そーんな怖い顔しないでよ？ねぇ、Aちゃん」

ニコニコしながら私の隣を歩くこの男は東京にいた時の知り合い。そして私が会いたくない男ランキング2位。

数分前、私は今日も学校を休み街をブラブラしていた。行こうとは思ったんだよ？

でも、ね…

あ、ついでに会いたくない男ランキング1位？…そんなのあいつしかいない。

紅野「無視？僕泣いちゃうよ？」

『きっもい』

紅野「ちょ、Aちゃん毒舌～」

そう言って紅野は呑気に笑っている。

うるせ私は今日テンション低いんだよおら
てか酷いこと言われてるのに笑ってるとか…ドM？

まぁいっか。

『…何か用？』

紅野「やーっとまともなこと話してくれた！俺たち、明日東京に帰るんだよね。だからAも…」

『無理』

紅野「まだ最後まで言ってないじゃん！」

どうせ一緒に帰ろうでしょ。
帰るわけないんだってあんなクソみたいなところ

『聞かなくてもわかるからね？』

紅野「まったく、何でこんなに冷たいのよぉ、あの開久の銀髪くんとはちゃーんと話してたのに。俺のこと嫌い？」

『アンタは嫌いだようん、』

…てかあの銀髪野郎の話はすんなやクソ。
私は今日そいつのせいで気分最悪なんだよおい

紅野「もぉー。俺はAのこと好きだよ？」

『そりゃどーも？』

紅野「いやいやAちゃん、これはラブの方だよ？」

『…は？頭おかしくなった？』

紅野「おかしくなんかないよ。俺なら、あの時のようにAを苦しめたりしない。守ってあげるから…だから帰ろうよ」

さっきまでのふざけた顔とは別の、真剣な顔で目の前の男はそう言ってきた。