TIME.76 ページ27
パパと二人っきりの旅行は終わり京都のお土産を少年探偵団の皆に配るため阿笠博士の所へ向かう途中小さな可愛らしい生き物と出会った｡
｢君こんなところでどうしたの?ご主人とはぐれてしまったの?｣
｢アン!｣
僕の目の前に居る小さなモフモフ…白いわんちゃんがくるんとしたしっぽを振って僕の目の前に立っている｡
｢首輪は無いっと…君まさか捨て犬なの?｣
｢アン!｣
｢君まるで僕の言葉がわかるみたいに返事するね｣
首輪も無いし薄汚れてるから捨て犬で間違いはない､でもこの人懐っこさは元々飼われてた子なのかな?
｢君お腹減ってるの?｣
｢アン!｣
｢じゃあちょっと待っててね!｣
駆け足で近くのコンビニへ行き水とドックフードを買い､急いでわんちゃんの所へ戻った。まだ居てくれて良かった…
｢お待たせ､ご飯買ってきたよ!｣
｢アン!アン!｣
わんちゃんはしっぽを振り僕に飛び付いてくる､あぁ…折角の下ろし立ての服が汚れちゃうよ…
そのぐらいお腹空かせていたのかな?今回は多目に見よう､はぁ…
｢ちょっと待っててね､今準備をするから｣
｢ｸｩｰﾝ…｣
わんちゃんがよだれを垂らして目で早くしてと訴えかけてくる､この子物乞い上手いなぁ｡
一緒に買った二つのお皿にドックフードと水を入れ､わんちゃんにあげるとわんちゃんはしっぽを振りながら目の前のご飯に勢いよくがっついた｡
｢君そんなにお腹空いてたんだね､大丈夫そんなにがっつかなくてもご飯は逃げやしないよ｣
ふわふわした毛並みを撫でてやると人間とは違った温もりが手のひらから感じた､その温もりを手のひらから感じた僕はこの生き物は生きているなぁと何故か当たり前の事を実感した､何故だろう?
｢美味いかい?｣
｢アン!｣
｢そうかそうか!それは良かったよ､君は運が良かったよこんな街中じゃご飯にありつけるのはとても大変な事だからね｡
でも不運なのは君を飼ってやれない事だよ…もしかしたら君は捨て犬ではなく迷子犬かもしれないしね…｣
ご飯を夢中で食べているわんちゃんを撫で阿笠博士の家に向かうためその場を離れた｡少し後ろ髪引かれる思いだったけど今の僕にはどうしようも出来ない｡
｢家族見つかると良いね｣
あのわんちゃんに家族が出来ることを祈りながら僕は駆け足で博士の所へ向かった｡
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作者名：イズミ | 作成日時：2018年9月12日 19時
