TIME.80 ページ31
藍ちゃんの手を引き米花駅に行ったけどそこでは藍ちゃんとそのご両親を見た人は居なかった。
「藍ちゃん、次はデパートの方行くけどどんなデパートだったの?」
「うーんとね…大きな観覧車があったの!」
「大きな観覧車…デパート…杯戸ショッピングモールかな…」
大きな観覧車がある所は杯戸ショッピングモールしか思い付かない、なんかもやもやするけど行ってみよう。
「杯戸駅に行くけど大丈夫?」
「ママとパパに会えるなら行く!」
藍ちゃんは目を輝かせ僕の手を引っ張り改札口へと向かおうとする。切符買わないと電車に乗れないので慌てて藍ちゃんをとめた。
……………
……
「此処!!此処にママ達と来たの!」
「此処…どっかで…」
藍ちゃんは興奮してはしゃぎ周りを見渡してるけど僕は目の前にそびえ立つ大きな観覧車を見て血の気が引くのを感じた。
「出流くん?」
「あっ…あっ…」
藍ちゃんの声が聴こえない、代わりに聴こえるのは人の悲鳴と佐藤刑事の叫び声。
目の前に見えるのは観覧車のゴンドラが爆発した風景とパパの絶望した顔。あの爆発したゴンドラに乗っていたのは…
松田陣平
そうか…此処は松田さんが死んだ場所だ。
思い出した、此処で松田さんが死んだんだ3年前の爆発テロで。僕は3年前此処で爆発を見たんだ。
「おえっ…」
「出流くん!?大丈夫具合悪いの!?」
「うっ…あぁ…あぁあぁ…」
頭がくらくらする、周りの音も聴こえない吐き気がするし涙も止まらない、なにより…胸がとても張り裂けそうで痛い。
どうして僕は3年前の事を忘れていたんだろう、わからない。3年前だけじゃない僕は何かを忘れている、何を忘れたのか思い出せない、痛い…胸が凄く痛いよ…助けてパパ…
少し意地悪でそれでも優しくていろんな事を教えてくれた、僕が赤ちゃんの時に死んじゃった萩原さんの事を教えてくれた。
よく何処かへ遊びに連れ出してくれた。
優しくて格好よくて大好きな松田さんが此処で死んだ、とても辛いけど何より辛いのは何で松田さんが此処で死んだのか忘れていたのが胸が張り裂けそうで痛い。
「君大丈夫?医務室に運ぶから少し我慢しててね」
係りの人に抱き抱えられたのを感じる、そうか…藍ちゃんが呼んできてくれたんだ。僕って情けないな…女の子に心配をかけちゃったんだもん。
こんな時松田さんならどうするのかな?
ははっ…わかんないや。
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作者名:イズミ | 作成日時:2018年9月12日 19時