鈴の音がみっつ ページ4
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自室に戻り、床につく準備を始める。
布が擦れる音を出しながら整っていく様は、眠気を誘う。
「護衛殿もなかなかに美しいのう」
突如部屋に響いた先ほど聞いた憎い声に振り向く。
私が気づかなかったのか?この距離で?
私の向いた方向で優雅に座るソイツはぬらりひょん。
というか、先ほど帰ったのではないのか。
聞けば、ここで私を待ち伏せしていたらしい。
『次来れば攻撃するまで、と言ったな。首と胴体に別れを告げておけ』
「あぁもうなんでそうなるんじゃ!
話をしに来ただけじゃろ!?」
『………………聞こう』
そう言って刀を納め正座をすれば、くい、と顎を持ち上げられる
ほう、と言って怪しい笑みを浮かべたソイツに寒気がした。
最近街の女人が憧れている、きざ、というやつなのか?
『何がしたい』
「…美しい」
『はぁ』
真顔で告げてくるのが意味が分からず、生返事になる。
呆れていれば妖の顔が驚いているものに変わる。
だから、何がしたい。
「ククッ、面白いのうお前。名は?」
『……』
「おいおい黙りかい?ワシは名を言ったぜ?」
『………名はAだ。珱の姉。』
もういいだろう、と起き上がろうとすれば腕の中に収められる。
同時に、床に背中を打ち付けられた。
目の前には、美しい金の瞳を持った妖。
『っ、何を…!』
「なるほど。珱姫の姉じゃったのか、ならばその美しさも頷ける。
…いや、お主が美しいから珱姫もあそこまで美しいのか。
この黒髪も、藤の様なその瞳も…全て美しい。」
ちゅ、と髪を一房とり口付ける妖。
じ、と見つめられる。
しばらくすると妖は私の上から退き、庭の方へ歩く。
「じゃあまたの。次はアンタに会いにくるぜ」
『〜っ、く、来るなっ!!!』
「照れるな照れるな」
月に浮かぶ藤
(口約束でもどこか喜んでいる自分が居た)
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猫助(プロフ) - 初めまして!とても良かったです!ぜひ続編をみてみたいです!楽しみにしています! (2021年11月16日 12時) (レス) @page19 id: 5b3ee7c267 (このIDを非表示/違反報告)
アレンシス(プロフ) - めっちゃ好きです!大好きです!是非続きを!簪をプレゼントするシーンとか結婚式などが見たいです!楽しみにしています (2021年10月31日 2時) (レス) @page19 id: 7ba3b8a141 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラッテ | 作成日時:2021年9月26日 18時