正常な体 ページ7
集中治療室から一般の個室に移された私の体は、どうやら左足が骨折しているだけで、他に大きな負傷はないらしい。
私達の乗った車は、高速道路を走行中に事故にあったらしい。居眠り運転のトラックが車線をはみ出して追突し、その勢いで中央分離帯に激突したそうだ。
アッパもオンマも、病院に運び込まれた時にはすでに息絶えていたという。
テミンオッパは私に何も知らせてくれなかったけど、個室に移った私は連日繰り返されるテレビの報道でこれらの情報を知った。
テレビでは記者に詰め寄られるテミンオッパの姿が写しだされている。
オッパはやつれて、真っ暗な瞳をしていて、知らない人のようだ。
そんなオッパを見るのは胸が引き裂かれるほど辛かったが、私はテレビの報道から目を離す事が出来なかった。
何で……何で…アッパとオンマが…
KY「A〜っ！またそんなの見て〜っ！」
いつの間にか入ってきたキーオッパがベッドに転がったリモコンを取り、テレビの電源を落とした。
あれから毎日オッパ達が変わる変わる来ては付き添ってくれている。
テミンオッパは泊まり込みで付き添いをし、事務所にもこの病室から通っている。
キーオッパはほぼ毎日面会に訪れ、私に手料理を食べさせようとしてくれている。
KY「A、お昼食べれた？」
A「ちょっとだけ…」
KY「Aの好きなサツマイモのお粥作って来たよ」
A「うん…ありがとう…」
あれから私は殆ど食事を摂ることができず、未だに点滴が取れないままだった。
KY「後でジョンヒョナとミノが来るって言ってたよ」
A「うん…」
キーオッパが温めなおしたお粥を出してくれる。
甘くて優しい味…
両親を亡くしたというのに、私の体はこんなにも正常で…
A「…っっ…」
KY「Aっ…」
こみ上げて来る吐き気…
何とか吐き出さずに飲み込んだが…
キーオッパへの申し訳なさと、思い通りにならない体への苛立ちでまた涙が溢れる。
KY「A、無理しないで良いよ？食べれなかったら食べなくて良いからね」
キーオッパが泣きそうな顔でそう言ってくれる。
A「キーオッパ…ごめんね…」
KY「謝らなくて良いの〜」
そう言って頭を撫でてくれる。
KY「ね、A、髪洗ったげようか？」
A「え？」
KY「一昨日看護師さんに洗ってもらったきりでしょ？」
A「汚れてる？」
KY「違うよ〜、なんかスッキリするかなって思って！」
A「うん…良いの？」
KY「オッパがしたいの〜」
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作者名：sae | 作成日時：2016年11月15日 22時
