家族 ページ26
ベッドに突っ伏して泣く私に気づいたオニュオッパが、何も言わずにそっと側に腰掛ける。
オニュオッパの大きな手の平がゆっくりと背中をさすってくれた。
何にも言わないオニュオッパの優しさに安心して、そのまま私はウトウトとまどろむ。
…優しく響くオニュオッパの低い声。
ふと目が覚めて見上げるとオニュオッパの喉仏が、ゆっくりと上下していて、ああ…男の人なんだなぁ…となぜか急に恥ずかしくなって、身を起こす。
ON「起こしちゃった？」
A「…ううん…」
とろける笑顔のオニュオッパと無言で見つめあう。
A「…オッパも苦しかった？」
…オッパを襲ったあの悲劇…。
天から与えられたその声を失うかもしれない恐怖…。
ON「…苦しかったよ…この声を失ったら自分に残るものは何もないって思った…」
A「オッパの魅力は声だけじゃないよ？」
ON「…うん…でももう声を失ったらみんなともいられないって思った…」
オッパが苦しそうに目を閉じて打ち明けてくれる。
ON「でも、他の4人が…たとえ声を失ったとしてもSHINeeのリーダーは僕だけだって…そう言ってくれたから…」
初めて聞くあの時の話…
ON「自分の価値は周りの人をどれだけ幸せにできるかで決まるんだと思った…」
A「自分の価値…」
ON「Aが笑うと僕も、他のメンバーも幸せになれるよ」
A「…ふふっ…ほんと？」
オニュオッパの優しい言葉に笑顔になれた。
ON「…ふふっ…ほんと。それにテミナにとってAは生きる理由なんだと思うよ」
テミンオッパ…
A「…私っ…テミンオッパの荷物になってないかな？歩けないし、1人じゃ何もできないし…オッパ達みんなに心配ばっかりかけてる…ごめんなさい…っ…」
心の内を打ち明けると、ポロポロと涙が零れた。
ON「…泣かないで〜、Aが大切だから…家族だからみんな心配するんだよ…」
ぎこちなく頭を撫でるオニュオッパの手の平。
A「…家族？」
ON「うん…僕たちもう家族でしょ？」
A「…うん…オッパが4人も増えたね…笑」
ON「そうだね…僕は一人っ子だから、妹が出来て嬉しいよ」
A「オニュオッパはオッパというか…」
ON「ハラボジ？笑」
A「ふふっ…笑」
オニュオッパとのそんな会話に笑顔がもどる。
ON「…A、焦らなくて良いから、ゆっくり良くなって…」
A「…ありがとう…」
オッパの優しい言葉に渦巻いていた苛立ちや焦りがスッと消えていくのを感じた。
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作者名：sae | 作成日時：2016年11月15日 22時
