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かんちがい/おりうら ページ6

ドアノブを回すとスルッとドアが開いた。

あの人がもう帰ってきているのだろう。

「ただいまー! うらたさん帰って来てたんだね〜。」

だが、返事はない。

「あれ? うらたさん?」

規則的に並べられている靴。

こんなのうらたさんぐらいしかいない。

まさか強盗...?

なんてことも思ったが、幸いなことにうちに盗んで得するような物は何も無い。

おそるおそる靴を脱ぎ、部屋の中へ足を踏み入れる。

半開きになったドアから少し誰かの身体が見えた。

男性にしては少し小さく、小柄な体型。

間違いなくうらたさんだ。

そう思ってホッとした。

「うらたさん?」

「!!...あ、おかえり! A。」

もう一度声をかけると、うらたさんは驚いたように私の方を見て言った。

少し元気がないように見えた。

「ただいま! もー、返事ないからびっくりしたよー。」

自然と笑みがこぼれる。

「ごめんな...、携帯に集中してて。」

「大丈夫だよ! あ、今からご飯作るから待ってて!」

「おう。いつもありがとな。」

私の頭にふわっと手の感触。

「うん!」

頭撫でられるの久しぶり。

思わずニヤけてしまう。

明後日もこんな風に幸せだったら良いな。



ご飯やお風呂などをすませて一段落した時、

「...なぁ、A。」

「ん? どしたの?」

「いや、なんでもない。」

「?...そっか。」

「うん...。」

少しの間続く沈黙。

「今日はもう寝るわ。」

うらたさんは部屋へ戻って行った。

「あ、うん! おやすみ。」

いつもは返ってくる優しい『おやすみ』。

だが、その返事は返ってくることなく、

空気のように消えていった。



そして、うらたさんの誕生日の日になってしまった。

私が部屋から出てきた時、うらたさんは既に出かけていた。

多分、坂田くんとだろう。

何で昨日、返事返してくれなかったのかな。

聞こえなかったとか?

いや、そんなことはない。

じゃあ、なんで。

私のこと、嫌いになったのかな...。

「うっ...。」

そのまま玄関で立ち尽くしていた。

ぼやけてくる視界。

肌につたっていく透明な何か。

なんでだろう。

私、何かしたかな...。

何もしてないのに。

「どうしよう、どうしよう...。」

溢れ出る涙は止まらないまま。

鍵は開けっ放し。

周りに目がいってなかったからだろう。

「おじゃましまー...Aちゃん!?」

「え、センラさんどしたん? ...え?」

「あ...二人とも...。」

彼等に見られてしまった。

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千坂@センラー(プロフ) - 皆さんお疲れ様でした。すごく豪華メンバーで、憧れな人達ばっかで、つい次へ次へとみていました。そして気づけばあとがきでした。面白かったです。皆さんこれからもがんばって下さい。改めて、お疲れ様でした。 (2018年8月9日 20時) (レス) id: e4c0b2a914 (このIDを非表示/違反報告)
歩美(プロフ) - 皆さん!執筆お疲れ様でした。うらたさんの誕生日に、素敵なサプライズをありがとうございます!とっても面白かったです。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 91f91d2de7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者一同 x他4人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月2日 20時

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