この気持ちの名は ページ46
「じゃあ素直に白状しろよ」
「────あいつはいつも誰かのことばっかり考えてた、自分のことなんて見えてないみたいに」
そんな姿が俺にとっては新鮮で、…尊敬、していたのかも知れない。
俺にないものを手にしていることが、やけに眩しく見えた。
「……」
そう告げると増渕トビオは何も言わず眉間にシワを寄せて口を一文字に閉じた。
「んだよ何か言えよ」
「…いや案外まともなんだなって」
「、は？」
「Aちゃんモテんじゃん？ほら可愛いし、優しいし？」
そんなこと分かってる。
でも誰かの口から聞くのは結構キツイものもあって。
「だからほら、市橋が好きになったのもてっきりそういうことかと思ってたわけ」
そう呟いた増渕トビオの横顔を、ただ見つめた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「本当分かってんの？」
市橋くんの病室に行く前、少しだけでもと増渕くんの病室を訪ねた。
────ついで、ということにしよう。
でも私より先に先客がいたようだった。
チラッと中を除くと増渕くんと対峙するように立つ由佳たちの姿。
…蓮子の姿はない。
「じゃあ私たちそれ言いに来ただけだから」
まずい、鉢合わせになる。
自分でも何で焦っているのかはわからないけどワタワタと隠れ場所を探す。
でもここは病院の廊下だ、そんなに上手く見つかるはずもなく────。
「、A？」
『っへ、！あ…』
「何やってんのこんなとこで」
『いや…市橋くんの病院ここだからついでに増渕くんの様子見に来ようかな、って』
「そっか」
「市橋元気にしてんの？」と告げた由佳にほっと胸をなで下ろした。
きっとこんな感情になるのも、蓮子への罪悪感のせいだ。
『うん、驚異の回復力だよ』
「あいつらしいね」
リハビリも辛そうだけど本当に一生懸命頑張ってて、その力に少しでもなれているんだろうか。
「良かったねA」
『え？』
「なんか市橋と出会ってからのA、凄く楽しそうだから」
──── ずっと周りにばっかり合わせて自分のことなんて考えてなかったAが、初めて自分の気持ち出せる人なんじゃない？
嬉しかった、由佳がそんなに私のことを考えてくれてたなんて。
私たちは仲良くしていてもどこかに線があるような気がしていた。
それは紛れもなく私のせいだけど、誰とでも楽しそうにしている蓮子が羨ましかった。
私が市橋くんに抱いている感情。
その名前が初めて分かった気がする。
それはきっと
──── " 信頼 " だ。
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狛犬のリサ(プロフ) - あーあ、やっぱり夢主はトビオじゃなくて市橋かぁ…けっ…作者は最高でドラマも最高だったし…トビオ落ちだったらもっともーっと最高だったのになぁ (2019年1月22日 2時) (
レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
みい - いつも楽しみにしてます！トビオおち分岐ありがとうございます！トビオと結ばれて欲しいと思ってたので嬉しいです (2017年9月27日 16時) (レス) id: 788e2e4591 (このIDを非表示/違反報告)
はる坊(プロフ) - この前はトビオオチが見たい！とコメントさせていただきましたが、正直私もどっちも見たいです。どちらも書いてくださるというお話すごく嬉しいです！！頑張ってください！！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: 0e6de27daf (このIDを非表示/違反報告)
前田ちかね(プロフ) - 市橋くんオチがいいです！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: f96c4eb485 (このIDを非表示/違反報告)
emu(プロフ) - 今日の回は昼顔っぽくて面白かったです！めっちゃ好きですこの感じの＞ω＜ (2017年9月2日 1時) (レス) id: 7e03b267ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年8月8日 18時
