市橋の惚れた女 ページ40
「ねえ、あれAじゃない？」
「…本当だ」
由佳と歩く帰り道。たまたま通りかかった商店街にAちゃんがいた。
さっき市橋くんの病院で会った時はあまり話すこともなかったから、なんとなく久しぶりに感じる。
でも隣にいるやつは、確実に男だろう。
誰だか知んねーけど、なんか腹立つ。
「…あれって、トビオ？Aと一緒にいるの」
「、は？」
トビオって、増渕トビオか？
市橋くんに言われてAちゃんの好きな人を調べた時、由佳は「私はトビオじゃないかなって思うんだよね。本人は認めないだろうけど」なんて言っていた。
まあ仮に好きなやつが正解だったとして。
市橋くんのことはどうする気なんだろう。
このまま告白を無かった事に…なんて出来ないだろうから。
「あいつ学校来てないのに、なんで？」
この時は正直ラッキーだと思っていた。
市橋くんに凡下高のやつらを探せなんて言われて、でも宛もねえし面倒なことになったななんて考えていたから。
なんでAちゃんが一緒にいるのかは疑問だけど、ぶっちゃけ探す手間が省けてラッキーだ程度だった。
由佳と別れてからすぐに市橋くんに電話を掛けた。
「市橋くん、増渕トビオがいました」
「…何処にだ」
「商店街です。でも、Aちゃんが一緒にいて」
「……」
電話の向こうで市橋くんの舌打ちが響いた。
これが増渕トビオじゃなかったとしても、好きな子が男と二人でいたなんて憤り以外の何物でもないだろう。
「分かった、確認する」
「っあの、市橋くん」
「…なんだ」
「ありえないとは思うんすけど、もしAちゃんが増渕を庇ってるとしたら…」
恐る恐る告げた言葉がしばらく沈黙に包まれた。
ようやく市橋くんが口を開いたかと思えば、
「俺が惚れた女だ。そんなことしねえよ」
そう告げた瞬間に電話を切られた。
怪我をしてからきっと市橋くんの頭の中には復讐のことしかないだろう。
でもそんな市橋くんの頭の片隅に、いやもっと大きくAちゃんがいてくれるなら。
「しゃあねぇ。応援するか」
いつか結ばれると信じて。
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もくもく(プロフ) - はぁぁぁ、、だいすきです。。。市橋くん、、 (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
狛犬のリサ(プロフ) - 素晴らしい小説なんですけど、夢主を見ていくとだんだんトビオの事人として好きで恋愛対象ではないと思ってしまいますねこの回は (2019年1月22日 2時) (レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 優羽さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです！（；_；）続編に移行することになりましたので是非ご覧下さい！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - あかねこっこさん» コメントありがとうございます！嬉しいです（；_；）今日４話放送ですね！また更新するのでぜひ楽しみにして頂ければ！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - 初めまして。更新されると毎日読んでます。続きが読みたいです。更新待ってます。 (2017年8月7日 11時) (レス) id: e3622875d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年7月24日 0時
