市橋くんと、キス？ ページ25
( どうしよう… )
扉の前に立ったままそろそろ１０分が経つ。
この扉を開けると、市橋くんがいる。
この前とは違う、市橋くんが。
嬉しい気持ちでいっぱいのはずなのに、
扉を開けるのが不安で仕方ない。
大丈夫、大丈夫。
そう言い聞かせてゆっくりと扉を開けた。
扉が開いた音に気付いた市橋くんの目が私を捉える。
きっとまだ体は動かせないんだろう。
市橋くんはこうなってしまったことをどう感じているんだろうか。
『、市橋くん』
「…A、？」
今までの彼とは別人のような掠れたか細い声で私の名前を呼んだ。
驚いたのか、少ししか開いてなかった目がほんの少しだけ大きくなった。
一歩ずつ、一歩ずつ、
踏みしめるように彼に近づいた。
市橋くんの手がゆっくりと宙に浮いた。
まるで私に触れようとするかのように。
それに答えるように私も震える手で彼の手を握りしめた。
初めて触れた彼の手の平はすごく温かくて、堪えていたものが一気に溢れだした。
『っい、ちはしくん、！』
「…何泣いてんだよ」
馬鹿じゃねーの、なんて言いながらも照れ笑いする市橋くんが嬉しそうで、私の心も温かくなった。
足に力が入らなくなってベットのすぐそばにしゃがみこむ。
私の手から離れた彼の手がぽろぽろとこぼれ落ちる私の涙を拭った。
「悪かった、心配かけて」
『っ本当だよ』
「そんなことないって言えよ」
『…良かった、本当に…良かった』
彼の手が私の後頭部に回るといきなり力が入って市橋くんの顔がぼやけてしまうくらい近くに引き寄せられた。
怪我しているのにどこにそんな力があるのかっていうくらい強い力で。
「…邪魔だな、これ」
『っ馬鹿、するわけないでしょ』
きっと市橋くんに付いている呼吸器のことを言っているんだろう。
自分でもわかるくらいに顔が熱い。
この呼吸器がなければ、私たちの唇は触れ合ったんだろうか。
そう考えるだけで頭が爆発しそう。
目を背けていた私は「A」と呼ばれた彼の声に反応して顔を上げた。
呼吸器の奥から見える、市橋くんらしい片方の広角だけ上がった笑いに、体がジンっと熱くなった。
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もくもく(プロフ) - はぁぁぁ、、だいすきです。。。市橋くん、、 (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
狛犬のリサ(プロフ) - 素晴らしい小説なんですけど、夢主を見ていくとだんだんトビオの事人として好きで恋愛対象ではないと思ってしまいますねこの回は (2019年1月22日 2時) (レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 優羽さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです！（；_；）続編に移行することになりましたので是非ご覧下さい！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - あかねこっこさん» コメントありがとうございます！嬉しいです（；_；）今日４話放送ですね！また更新するのでぜひ楽しみにして頂ければ！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - 初めまして。更新されると毎日読んでます。続きが読みたいです。更新待ってます。 (2017年8月7日 11時) (レス) id: e3622875d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年7月24日 0時
