市橋くん起きてよ ページ18
正樹くんに連れられて病院にやってきた。
病院には矢波校生で溢れかえっていて、いつもは誰かに喧嘩を売ってるような皆でも、
大人しく治療されているようだった。
「っ正樹！」
「、由佳、！」
「怪我は！？大丈夫なの、」
「ああ俺は大丈夫」
由佳は病院に先に来ていたようで、正樹くんの顔を見ては目に涙を貯めて「良かった」と何度も呟いた。
病室に案内された後、気を使って「じゃあ俺また後で来るわ」とどこかに行ってしまった。
その優しさは今の私にとっては本当に助かるものだった。
この扉を開けた向こうには本当に彼がいるんだろうか。
手の震えが止まらない、おまけに力も入らない。
でもこの扉を開かないと何も始まらない。
そんなこと分かっているけど、この先に何が待っているか分からない恐怖が私を支配する。
＿＿＿＿＿＿＿＿何度か深呼吸して覚悟を決めた。
『…失礼します』
恐る恐る下を向いていた顔を上げた。
顔中に巻かれた包帯。
一体どこに繋がっているのかも分からないたくさんのチューブ。
彼の鼻と口に当てられた呼吸器。
こんなものテレビドラマでしか見たことない。
『い、ち…はし、くん…』
私が呼びかけても市橋くんはピクリとも動かない。
ピッピッと彼の心臓が動いていることを示す機械に、こんなにも心が救われている。
でもきっと今の市橋くんはとてつもなく、苦しんでいるはず。
体中の痛みと苦しみに耐えて
必死に生きようとしている。
そんな姿を見つめたまま何も出来ない自分にやるせない思いが溢れ出した。
ベットの上に投げ出されている彼の手に触れる。
市橋くんが気付いているのかなんてそんなの分からないけど、
私はここにいるよって伝わればいい、そう考えていた。
こんなに綺麗な彼の右手が
たくさんの人を傷つけているだなんて、
信じられない。
…そうだ。
私は私の手を握ってくれる優しい右手しか知らない。
もっと聞きたいことだって山ほどある。
どうして私なんですか、っていうずっと抱えていた疑問もまだ解決出来ていない。
『っ市橋くん、起きてよ』
『まだ話したいことだって、あるのに』
『…私のこと諦めないって言ったでしょ』
何言ってるんだろう私。
きっとこんな普通じゃ信じられないような状況に頭がおかしくなっているんだろう。
まあでも、市橋くんに聞こえていないならそれはそれでいいか。
でも目を覚まして欲しいと願う私と裏腹に、
市橋くんはじっと動かないままだった。
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もくもく(プロフ) - はぁぁぁ、、だいすきです。。。市橋くん、、 (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
狛犬のリサ(プロフ) - 素晴らしい小説なんですけど、夢主を見ていくとだんだんトビオの事人として好きで恋愛対象ではないと思ってしまいますねこの回は (2019年1月22日 2時) (レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 優羽さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです！（；_；）続編に移行することになりましたので是非ご覧下さい！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - あかねこっこさん» コメントありがとうございます！嬉しいです（；_；）今日４話放送ですね！また更新するのでぜひ楽しみにして頂ければ！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - 初めまして。更新されると毎日読んでます。続きが読みたいです。更新待ってます。 (2017年8月7日 11時) (レス) id: e3622875d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年7月24日 0時
