人見知り窪田とツンデレ彼女

彼女と初対面 ページ43

「 ( 引き返さないと ) 」
「 ( 今すぐこの場所から去らないと ) 」


でも人間はいざと言う時に嘘のように体が固まってしまうらしい


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



このままグズグズしているのも嫌だし
何より窪田さんに迷惑を掛けることになる
そう思った私の足は自然とここへ向いていた


「将暉、いるのかな」


将暉が住む東京のとあるマンション
何度も来ている場所なのに初めて来たような緊張が襲った
意を決して建物に入ろうとした時だった


「ねえ将暉〜次いつ会えるの？」

「さあ、しばらくは忙しいから無理やわ」

「えー嫌だよそれは」


明るい茶髪のギャルの代名詞のような女の子が将暉の腕にまとわりついている
その将暉も満更でもなさそうな顔で彼女を見つめていた


「 ( そっか彼女だもん当たり前だよね ) 」


そう分かっていつつも胸の中に何かがつっかえたようで
どういう感情なのか自分でも分からない
その場から動けない私にふと将暉が目を向けて驚いたように目を開いた
足を止めた将暉を不思議に思ったのか彼女も私に目を向けると将暉とは違う、睨みつけるように目を細められた


「…A、？」

『久、しぶり』

「Aさんですよね？ずっとお会いしたかったんです！私、将暉の彼女の優香っていいます！」

『え、あ、どうも…』


きっと将暉は気付いていないだろう
この子の引きつった笑顔も、痛いくらい睨みつけられていることも
そりゃ彼女からしたら私の存在なんて邪魔でしかないはずだ
そんなの分かりきっている


「ごめん優香、ひとりで帰ってくれへんか？」

「、え」

「Aも何か話あるから来たんやろ？」

『え…うん、まあ』


彼女の眉間のシワがより一層深くなった
でも将暉がいる手前感情的にもなれないのかしぶしぶ「…分かった」と呟いた
そしてもう一度私を睨むと奥の道路へと消えていった

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