人見知り窪田とツンデレ彼女

カノ嘘会と、覚えていない記憶 ページ12

それからというもの、どうしても左にいる彼のことが気になってしまっている
気にするな気にするな、と必死に自分に言い聞かせてみるけど全く効果がない
そんな自分を紛らわすように、ついに飲んでしまった…お酒を

『う、うう…』

「ねえ大丈夫？」

健「ちょ、おい！誰だよAに酒飲ませたやつ！」

『やばい、もう無理』

翔「え、ちょっと待って！吐かないで吐かないで！」

私の右隣に座っていた翔平はアワアワと「ねえビニール袋どこ！？」とパニックに陥っている
私だって、こんな所で吐くわけにはいかない
翔平が着てる高そうな服の弁償だってしたくない
そして何より窪田さんの前でなんて、気が引けてしまう

『ちょっとごめん、』と翔平を押しのけてトイレへ駆け込んだ

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

『はあ、やばい、頭いた…』

気が付いたら私は眠ってしまっていたようで、見慣れない天井が視界に入る
でも見慣れないのは天井だけじゃない
家具も壁も全てが初めての景色

『ここ、どこ、？』

そんなことを考えていると、右隣からガサっと何かが動いたのが見えた
目を向けると見覚えのある顔がそこにあった

小さくて白い肌に、薄い唇、鍛えられた筋肉が毛布から覗き出ている
…何で、裸なの

急いで毛布の中を見た自分の中を見ると、生まれたままの姿の私がいた

『………最悪、だ』

恐らく、私の想像は的中しているはず
何よりも問題なのは、昨日の記憶が全くないということ
トイレに駆け込んでからの記憶が、ない

きっと夢だこれは、ともう一度隣を確認してみても変わらない景色があるだけ

真っ白になった頭をかき消すように、私は毛布を被った

窪田さんとの朝→←カノ嘘会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す