ＳＶＴの姫 ~ yellow rose ~

スンチョルの幸せ ページ18

ホシさんは体についた汗と血を落とすためにシャワーに行って、ミンギュとスンチョルはビリヤードをし始めた。

私も誘われたけどやり方が分からない、と言って断ってしまった。


…ジス、大丈夫なのかな。


さっきから二人の目を盗んでは何度もジスに電話しているけれど一向に繋がる気配はない。

不安ばかりがどんどん募っていく。



HS「…ねえ」

『あ、ホシさん』

HS「いいよ、さん付けじゃなくて」

『じゃあホシくん』



いつの間にかシャワーから出たホシくんがタオルを首にかけたまま私の隣に腰掛けた。

ポツポツと髪から水が滴っている。


さっきまでの赤いスーツとは打って変わって黒のTシャツに赤のスキニー。



『…ホシくんは、怪我してないの？』

HS「うんまあね」

『どうしてそんなに強くなったの？』

HS「…嫌いだったんだ、ずっとこんな自分は。

毎日喧嘩は売られるし何の目的だってないまま、ただ向かってくる相手を倒すだけで」



ホシくんははしゃぎながらビリヤードをするスンチョルとミンギュを見て微笑んだ。



HS「でもスンチョリヒョンのおかげで生きる目的が出来た。

俺の力を必要としてくれてるＳで皆の為になれてることが嬉しいんだ」



──── 私に入り込む隙間なんて、最初からなかった

ジスが苦しんでいるなら二人もきっと同じ気持ちだと思い込んでいた。


ミンギュとじゃれ合うスンチョルは本当に幸せそうで、それを眺めるホシくんだって。



HS「Ｓに来るの？」

『え？』

HS「まだどのチームにも入ってないんでしょ？」

『そう、だけど』

HS「ヌナなら俺らは歓迎だよ、仲間の大切な人は俺らの大切な人でもあるから。

…あ、ミンギュの女は別ね」



あいつの女癖はどうにかならないもんかな、とホシくんは嘆いた。

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