23 第４話ｅｎｄ ページ23
( 三澄 )
まだ朝も早い頃、UDIに来たけれど所長以外誰も来ていないようだった。
いつもあんなに早いAが来ていないなんて、珍しい。
事件が解決に向いたんだから今日は午後からの出勤かな。
「おはようございます」
「おはよう。
事故現場見つかったんだって？」
「あ、はい。
それに加えて社長を相手取って、従業員全員で裁判を起こすことになりました。
見払いの残業代の請求と、あと労働環境改善。
母が徹底的にとっちめてやると」
「とっちめられたいな〜」
「何言ってるんですか？」
「今日、午後出でよかったのに」
「はい、だから来たんです。
誰も来ないので」
不思議そうな顔をする所長に「中堂さんいますか？」と問いかけた。
見た感じ、誰もいなさそうだけど。
「あー夕べは珍しく帰ったみたい。
あの人四六時中いるからねー、所長室使うのはいいんだけど物が増えちゃってさ」
「中堂さんは
────誰を殺したんですか？」
所長室に向かう所長の背中がピタリと動きを止めた。
「殺していないとしたら、
なぜ疑われて逮捕までされたんですか？
証拠不十分で釈放された中堂さんを日彰医大は解雇した。
その経歴を神倉さんは知らないはずがない。
中堂さんは夕べ所沢の葬儀場まで行って葬儀の前のご遺体を検案していました。
ご遺族に無断だったと思います。
葬儀屋にお金を渡して、許されることじゃありません。
あれは、何をしていたんですか？」
所長は何度も瞳をさ迷わせた。
「私も詳しくは知らないんです」
「、神倉さん、！」
「でも何の為にそれをしようとしているのかは知っています。
中堂さんがここで働く理由」
──── 八年前、一人の女性が殺されました。
そのご遺体は日彰医大の法医学教室に運ばれました。
被害者は身元不明でスクラップ置き場に捨てられていたそうです。
その日当番だった中堂さんはそのご遺体を解剖した、何も言わずに。
「何も言わずに？」
「法医学者としては当然の行為です。
ご遺体は毎日のようにやってくる。
でもそのご遺体は、
──── 中堂さんの恋人だった
運ばれてきた恋人の他殺体を彼は何も言わずに解剖したんです」
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ゆう - 素敵な小説ありがとうございます。続編楽しみに待っております！ (2018年3月17日 16時) (
レス) id: e85ad242c1 (このIDを非表示/違反報告)
あーぽん - めっちゃ面白いです！木林さん好きなので次がきになります！ (2018年3月17日 12時) (レス) id: 54c07bea64 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - アイリスさん» はじめまして、ご指摘ありがとうございます。誤字を訂正させて頂きました。お手数お掛けしすみません。これからも檸檬のなみだを宜しくお願いします！ (2018年3月4日 16時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。誤字報告、ご指摘をさせていただきます。8の「激を飛ばす」は「檄を飛ばす」が正しいです。また「檄を飛ばす」という表現よりも「不満を漏らす/零す」が適切だと思います。出すぎた真似でしたらすみません。 (2018年3月3日 22時) (レス) id: 2bfa349df7 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - にしじまさん» 初めまして！コメントありがとうございます（；_；）なんて嬉しいお言葉、、がんばります！！！ (2018年3月2日 13時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2018年2月20日 23時
