13 ──── 中堂のこころ ページ13
( 中堂 )
勤務が終わった夜。
いつものようにカップラーメンにお湯を注いだ。
暗くなったラボにはいつもこの時間までバタバタと作業している黛の姿はない。
扉を開けるとデスクの前にはまだパソコンと向き合う三澄がいる。
「また泊まりですか？
過労死しますよ」
「例のバイク事故の脳か」
「はい、解剖の時に動脈瘤が見つからなくてCTで見つからないか探してみてるんです」
「動脈瘤がない場合もある」
「そうなんですよねー
でも気になって…」
思えば人とこんなに関わっていたことは無かったのかもしれない。
それは紛れもなくあいつが原因で。
──── 今日から中堂班の臨床検査技師になりました黛 Aです
──── ちょっと中堂先生！
──── 私が死んだらいなくなりますよ、あなたの仲間が
あの事件の時とは苗字も変わっていたし、16年の年月で顔つきだってかなり変わっていた。
でも忘れるはずなんてない、
────あの事件だけは。
「脅迫状、あれは俺に宛られた物だ。
お前じゃない」
「お前とは誰のことを指す言葉ですか？」
「…三澄じゃない」
「心当たりがあるんですか？」
最近、黛のようなやつが増えているのは気のせいだろうか。
「さあな」
「あっ、前の奥さん？」
「何の話だ」
「バツイチなんですよね？」
「誰が言った、ガセネタだ」
「ならどんな心当たりが？」
「ありすぎて分からん。
俺は恨まれやすい体質なんだ」
「恨まれやすい性格の間違いじゃ」
「とにかく相手は俺だ。
三澄が心配することはない」
コーヒーを一口含むと口に広がる苦い味。
「それを言われてはいそうですか安心しました、ってなると思います？
自分宛だと言い切る根拠があるんですよね？」
ため息をつきながらリュックを漁るとある物を取り出して三澄に手渡した。
「今まで何枚も受け取ってる。
まあそういうことだ」
「誰がこれを？」
さあな、と三澄の手から脅迫状を取り上げて扉を締めようとしたがそれは叶うことなく。
「どんな罪を犯したんですか？」
「──── 罪のない人間なんて、いるのか？」
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ゆう - 素敵な小説ありがとうございます。続編楽しみに待っております！ (2018年3月17日 16時) (
レス) id: e85ad242c1 (このIDを非表示/違反報告)
あーぽん - めっちゃ面白いです！木林さん好きなので次がきになります！ (2018年3月17日 12時) (レス) id: 54c07bea64 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - アイリスさん» はじめまして、ご指摘ありがとうございます。誤字を訂正させて頂きました。お手数お掛けしすみません。これからも檸檬のなみだを宜しくお願いします！ (2018年3月4日 16時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。誤字報告、ご指摘をさせていただきます。8の「激を飛ばす」は「檄を飛ばす」が正しいです。また「檄を飛ばす」という表現よりも「不満を漏らす/零す」が適切だと思います。出すぎた真似でしたらすみません。 (2018年3月3日 22時) (レス) id: 2bfa349df7 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - にしじまさん» 初めまして！コメントありがとうございます（；_；）なんて嬉しいお言葉、、がんばります！！！ (2018年3月2日 13時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2018年2月20日 23時
