グレイ _ ｇｒａｙ__ (ページ14)

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あたたかい手ページ14

いきなり私の前に現れた雅貴は「また絶対会おう！」とだけ言い残して嵐のように去っていった
そのすぐ後にコブラから電話があって、もしもう少し早く電話が来ていたら…と考えるだけで恐ろしかった
コブラはお兄ちゃんと同じくらい雨宮兄弟のこと悪く思っていたから
理由はわからないけど

クラブにいると伝えると「…すぐ行く、そこから動くな」とやたら機嫌が悪かった
もう一度着信があって外に出てみるとバイクに跨ってこちらを見つめているコブラがいた
それにしてもこの機嫌の悪さはどうにかならないんでしょうか、なんて１人で突っ込んでみる

『わざわざありがとうございます』

「…ん」

ヘルメットを私に渡すと、早く乗れと言わんばかりに前を向いてエンジンをかけ始めた
後ろに乗って腰に腕を回す

コブラは私をバイクに乗せるとき、いつもよりスピードを落として走ってくれる
それは今も昔も変わらずに

「…なんであんな所にいたんだ」

『えー？なんて？』

バイクが走る音でコブラの声はかき消されてしまって私に届く事はなかった

「…なんでもねーよ」

『何よ、気になるじゃん』

「１人で行くなよ」

『っな、１人で行ったわけじゃ』

「分かってる」

コブラの腰に回した腕を強めると私の手に触れてきた左手
何故か少し暖かい気持ちになった