グレイ _ ｇｒａｙ__ (ページ11)

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赤の法被ページ11

「日向が帰ってきた」

そう右京さんからの電話で聞いた瞬間、私は猛ダッシュで走っていた
最近はあまり走ることがなかったからすぐ息切れする自分にイライラしながらも必死に足を動かした

やっとの思いで達磨さんたちのもとへ辿り着くとたくさんの赤い法被を着た人たちが集まっていた

「おう早かったな」

右京さんがゆっくりと私のもとに近寄ってくる
走ってきたのかよ馬鹿だろ、なんて言われても今は全く耳に入ってこない

『の、紀久く、ん、は』

肺にうまく空気が入らなくて何を話しているのか分からない

「日向なら今中にいる」

どこからか現れた左京ちゃんが嬉しすぎてチビんじゃねーぞと髪の毛をグシャグシャと撫でて？きた ( 絶対に違う )
さすがにこれには言い返したけど

「おーい日向、おチビちゃんが来たぞー」

右京ちゃんがそう叫ぶと扉がバンッと音を立てて開いた
久しぶりに見た紀久くんは相変わらず髪はボサボサだけど少し伸びていて、髭も伸びていた
どう話しかければいいのか分からなくて戸惑っていると

「お前なんか喋れよ」

と左京ちゃんから突っ込まれた

『、っあ、あ、あの！』

「、あ？」

久しぶりに聞いた紀久くんの声
なんか、ゾクゾク、した

『お、お久しぶり、です』

「ああ」

『 (やばいどうしよう何か喋らないと)えっと、あの、楽しかったですか！(、え？)』

私の予想外の発言に驚く左京ちゃんと笑いをこらえる右京さん
自分でもなんてこと言ったんだと後悔した
刑務所が楽しいはずないのに！

「…ああ楽しんだよ、今の方が楽しいけどなあ？」

右の口角だけをニヤッとあげた紀久くんに恐怖を抱いた
ゾクッとした、今ゾクッとしたよ！？

「え、あ、ハハハ」

私の乾いた笑い声が響いた
その後もこっ酷く絞られました