59話 ページ9
戸《って言っても無理ありますよね…》
『はいっ?』
戸《実はAさんの声聞きたくて…あの、いきなりですが…携帯貸りたお礼と思って、今度一緒にご飯行ってください!》
そう言われてしまえば断れないAはいいですよ、と返事をする。するとすごい大喜びの戸塚は、早口で日にち、時間、待ち合わせ場所を決める。
『はい。その日で大丈夫です』
戸《っしゃ!じゃあまた当日》
そう言い電話を切ると、ホッと一息。
『なんかトントン拍子に話が進んだな』
釘「何が進んだの?」
Aは釘崎に今あった経緯を話す。
釘「へぇー。でもそいつ平気なの?この間みたいな変な奴かも」
『戸塚さんは平気な気がする。だって自分も両手いっぱいの荷物を抱えて大変なのに、困ってる人に声かけちゃうような人だよ?』
釘「ふっ、そーね。まぁ何かあったら私がぶっ潰す」
『ふふ、その時はよろしく』
そして戸塚と会う当日、Aは部屋で着替えをしようとしていた。するとガチャとドアが開く。
伏「どっか行くのか」
『うん。恵は今日任務行ったら明日が休みだよね?頑張ってね』
伏「釘崎も今日は任務だよな?」
『うん、そうだけど?もう着替えるから出てって』
Aがそう言うと、伏黒はAを後ろから抱きしめた。
『っ!ちょ、恵?』
伏「誰と行くんだ?虎杖か?」
『ち、違うよ!この間携帯貸してくれた人』
伏「は?電話出たのか?」
『出たって…その人って気づいてたの!?』
そう言いバッと振り向いたは良いものの、後ろから抱きつかれていたから、予想外の顔の近さにたじろぐA。そしてそのまま前から抱きつかれると耳元で呟かれた。
伏「行くな」
『む、無理だよ。約束してるし』
伏「…じゃあ俺と付き合って」
『だ、だから何でそうなるの』
心拍が上がるAはその音が伏黒に聞こえてしまうのではないかと不安になり、そのまま押し返して着替えるから、と部屋から追い出した。
釘「アンタも懲りないわね」
Aの部屋を追い出されれば、隣の部屋の釘崎は自身の部屋の扉に寄りかかっていた。たぶん2人のやり取りを聞いていたのだろう。
伏「きっと俺は焦ってる」
釘「いいこと教えてあげる。押してダメなら引いてみろよ」
ビシッと人差し指を刺され単純なことを言われたけど、伏黒の失いかけた冷静さを取り戻すにはそれで十分だった。
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作者名:かえさ | 作成日時:2021年1月9日 0時