第109話 ページ10
ギョッとした顔をする一星だが、彼が想定していた最悪の事態には至らなかった。バスが横転する変わりに、灰崎のイヤホンの音が大音量になる。
Aが恐る恐るスイッチを拾い上げると、一星が驚いた様な顔でそっとボタンを押した。再び怒り出す灰崎を見て、一星は不思議そうに何度もボタンを押すのだった。
そんな彼を見て、Aはほっと胸を撫で下ろした。
・
「どういうつもりだ、一星。何故やらなかった？」
会場の裏で、一星とAは先ほどの老人に問い詰められているところだった。
「やりましたよ！信じて下さい！ボタンを押したけど、何も起きなかったんです！」
「本当です！私も確かに見ていました！」
事実を証明証と必死になる2人だったが、老人は冷ややかに「見苦しい言い訳だな」と言い放った。
「忘れてないだろうな。この試合には、お前の弟の命が掛かっていることを。」
更に無慈悲な言葉を投げてきた老人に、Aは思わず声を荒げた。
「良い加減にしてください！！貴方は、こんなことして恥ずかしくないんですか…？子どもをこんな小汚い事に利用して…！！」
今まで黙っている事しか出来なかったが、余りにも酷な仕打ちだ。一体彼が何をしたと言うのか。ただ、必死に生きているだけじゃないか。
「私はもう…」
「立場をわきまえよ。言ったはずだぞ。」
老人の低い声で、Aはグッと口を閉ざした。
＿そう、今はまだその時じゃない。笑え、笑うのだ。
「失礼しました。少し、気が動転している様です。
…任せて下さい、この試合で必ず、イナズマジャパンを敗退させて見せますから。」
彼女は、にっこりと完璧な笑顔を老人に向ける。それを見た老人はゆっくりと目を伏せた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エル(プロフ) - かなりさん» かなりさん、初めまして。嬉しいお言葉ありがとうございます…！！頑張って完結させますのでこれからも宜しくお願いします。 (2020年5月23日 21時) (
レス) id: 48e524db4d (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私は、この小説が大好きです！！ずっとこの小説のコメントが書けなくてごめんなさい。でもこの小説はドキドキしながら読んでいます！これからもずっとこの小説を最後まで続けて欲しいです！！これからも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！ (2020年5月23日 21時) (レス) id: d3ceb655af (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - かなえさん» ご感想ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )嬉しいお言葉を頂けてとても励みになります！今後も宜しくお願いします。 (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» 名無しのりんごさん、ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )諸事情で更新頻度落ちてるんですけど、必ず完結させますんで今後も宜しくお願いします！ (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
かなえ - 私は、超語彙力がないんです！うらやましい！すごく面白かったです！シリアス展開で、ボケ要素少なめの真剣な感じで、なんかこう……ビリビリきました！ずっと応援しています！ (2020年1月11日 21時) (レス) id: a03bb62dba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ニーナ | 作成日時：2020年1月4日 18時
