第110話 ページ11
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老人と別れた後、Aは一星に先に戻っとく様言うとその場を後にした。彼女が目指す先にいるのは、彼女たちに手を差し伸べたあの人物だった。
「何とか危機は回避できた。ありがとう、野坂君。」
やんわりと笑うAに、野坂は「どういたしまして」とだけ答えると、彼女をじっと見つめた。
そんな彼の視線を受けたAは、やや怪訝そうな顔をして首を傾げた。
「…何か？」
野坂は、不思議そうにこちらを見上げている少女の顔を暫く見つめていたが、少し考え込むかの様に顎に手を当てると、こう言った。
「新妻さん、大丈夫？やっぱり何か怒ってるよね。」
それを聞いたAの瞳が大きく見開かれる。そして、きゅっと口を一文字に結んだかと思うと、大きなため息をついた。
「そりゃ、怒るよ。あいつらが憎くて堪らない。」
あの老人の顔を思い出すだけで吐き気がする。何故、あんなにも屑なことが出来るのだろうか。あの老人には、良心というものが無いのだろうか。
「許せない。私の家族を苦しめるオリオンが憎い！」
Aは、静かだが激しい怒りを野坂に訴えた。ずっと心の中に仕舞い込んでいた怒りが、ふつふつと溢れ出すのを感じる。
「…この試合、私は私の思うがままに動く。恐らく、いや、間違いなく奴らは私と充を標的にする。」
命令に背いたのだ。彼は何も知らないけど、きっともう奴らは私たちを見放すだろう。何も語らず、勝手に動いた私をあの子は恨むだろうか。でも、それでも構わない。どうか、どうか自分の心の声に従って欲しい。これ以上、傷付かないで欲しい。
「私は大丈夫だから、あの子のことお願いね。」
本当は、私が貴方を導きたかった。貴方の手を引いて、暗闇から連れ出してあげたかった。
「…私の、大切な兄弟を宜しくね。」
最後まで無力な私を恨んでくれ。私は貴方を間違った方に導いた。本当は、最初からこうするべきだったのだ。
「違うよ。君も、彼を導くんだ。僕らと一緒にね。」
哀しげな笑みを浮かべていたAに、野坂が優しく微笑む。そんな彼を見た彼女の瞳が、再び大きく見開かれる。そして、ゆっくりと頷いた。
「うん、そうだね。その通りだよ。」
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エル(プロフ) - かなりさん» かなりさん、初めまして。嬉しいお言葉ありがとうございます…！！頑張って完結させますのでこれからも宜しくお願いします。 (2020年5月23日 21時) (
レス) id: 48e524db4d (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私は、この小説が大好きです！！ずっとこの小説のコメントが書けなくてごめんなさい。でもこの小説はドキドキしながら読んでいます！これからもずっとこの小説を最後まで続けて欲しいです！！これからも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！ (2020年5月23日 21時) (レス) id: d3ceb655af (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - かなえさん» ご感想ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )嬉しいお言葉を頂けてとても励みになります！今後も宜しくお願いします。 (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» 名無しのりんごさん、ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )諸事情で更新頻度落ちてるんですけど、必ず完結させますんで今後も宜しくお願いします！ (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
かなえ - 私は、超語彙力がないんです！うらやましい！すごく面白かったです！シリアス展開で、ボケ要素少なめの真剣な感じで、なんかこう……ビリビリきました！ずっと応援しています！ (2020年1月11日 21時) (レス) id: a03bb62dba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2020年1月4日 18時
