第104話 ページ5
「新妻くん、良く聞きたまえ。君が我々の邪魔をするというのなら、我々は容赦なく君の大事な者を潰す。くれぐれも出過ぎた真似はしない事だ。」
Aは険しい顔で老人を見つめていたが、諦めたのかその表情を緩めるとにっこり笑った。
「ええ、生意気言ってすみませんでした。任せて下さい、必ずや日本を潰してみせましょう。」
老人は彼女の言葉を鼻で笑った瞬間、画面が急に暗くなった。そして、タブレットを持っていた黒服の男は「以上だ」とだけ述べるとその場を去った。
男の後ろ姿が消えるのを確認したAは、貼り付けていた笑顔を崩すと小さくため息をついた。そして、スイッチを握りしめ下を向いている一星に声を掛けた。
「…充。それ、私に寄越しな。」
それを聞いた一星は怪訝そうにAの方を見た。苦悩に満ちた彼の顔を見て、Aは心臓がギュッと握り締められたような感触を覚えた。
「無理でしょ、貴方に出来る訳がない。それに、私も貴方にやらせたくない。きっと、辛い思いするよ。」
交通事故で家族を失った彼にとって、そのスイッチを押す事は耐え難い行為だ。交通事故がトラウマの彼にこんなことをさせようとしたオリオンに、Aは激しい怒りを覚えていた。
「大丈夫、光は助かるよ。全部、私に任せて。」
そう言って優しい微笑みを浮かべる少女を見て、一星は徐々に落ち着きを取り戻していった。
「…俺がやるよ。光は俺の弟だから。それに、やると言ったのも俺だから。」
もう、覚悟を決めるしか無いのだろう。もともと、Aは自分に巻き込まれたに過ぎない。家族といっても、自分たちと彼女の間にはどうしたって血の繋がりなど無いのだから。どうしたって、大切な女の子として見てしまうのだから。
「ありがとう、A。お前がああ言ってくれたお陰で、少し気が楽になった。…もう、1人でも大丈夫だ。」
これ以上、好きな子を危険な目に合わせたくない。せめて今回だけは、何も知らない体でいて欲しい。
「何を馬鹿なこと…。言ったでしょ、地獄までついて行くって。」
Aは静かにそう言うと、スイッチを握りしめている一星の手を自分の両手で包み込んだ。
「私たちは、共犯だよ。」
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エル(プロフ) - かなりさん» かなりさん、初めまして。嬉しいお言葉ありがとうございます…！！頑張って完結させますのでこれからも宜しくお願いします。 (2020年5月23日 21時) (
レス) id: 48e524db4d (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私は、この小説が大好きです！！ずっとこの小説のコメントが書けなくてごめんなさい。でもこの小説はドキドキしながら読んでいます！これからもずっとこの小説を最後まで続けて欲しいです！！これからも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！ (2020年5月23日 21時) (レス) id: d3ceb655af (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - かなえさん» ご感想ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )嬉しいお言葉を頂けてとても励みになります！今後も宜しくお願いします。 (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» 名無しのりんごさん、ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )諸事情で更新頻度落ちてるんですけど、必ず完結させますんで今後も宜しくお願いします！ (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
かなえ - 私は、超語彙力がないんです！うらやましい！すごく面白かったです！シリアス展開で、ボケ要素少なめの真剣な感じで、なんかこう……ビリビリきました！ずっと応援しています！ (2020年1月11日 21時) (レス) id: a03bb62dba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2020年1月4日 18時
