第59話 ページ10
「全員その場を動くな！！我々は、FFI管理局の者だ。」
男たちはそう言うと、片っ端から選手たちの荷物を探り始めた。岩戸と剛人が抗議の声を上げるが、彼らが手を止めることは無かった。そして、ある人物のロッカーの前で動きを止めた。
「ここのロッカーを使用している者は？」
その問いに、鬼道が名乗り出た。
「これはドーピング効果のある薬だな？」
その言葉に、鬼道と円堂は驚愕の声を上げる。しかし、男はその反応に構うことなく言葉を続けた。
「ドーピング違反により、鬼道有人、君を代表選手失格と見なす！！」
「待ってください！鬼道がそんなことする訳ない！」
円堂が必死に弁明するが、男たちは聞く耳を持たず鬼道を拘束し外へと連れ出した。そして、彼らと入れ替わりに部屋の中へ入ってきたのは一星充だった。
「あーあ。鬼道さん失格になっちゃいましたねぇ。」
軽い調子でそう言う一星を灰崎が睨みつける。
「一星…！！てめえが鬼道をはめたんだな？」
「何のことかなぁ？…だけど良くないよねぇ、ドーピングなんて。鬼道さんがそんな卑怯なことをする人だったなんて、幻滅だなぁ〜。」
白々しい言葉を並べる一星に、灰崎が掴みかかった。
「てめえ…！！許さねぇ！お前もあの女狐も、ぶっ潰してやるよ！！」
灰崎の発した"女狐"という言葉に、一星は一瞬険しい顔をした。それが自分の大事な幼馴染みのことであるのは直ぐに分かったが、その少女に危害を加えられるのは耐え難かった。
その時、彼が押し付けられていた扉がドンドン叩かれた。一星がはっとして振り返ると、その扉が勢いよく開けられた。一星と灰崎は数歩よろけたが、すぐに体勢を戻し入ってきた人物に目をやった。
「随分と楽しそうなことをしてるのね。喧嘩ですか？」
ドアを開け放ち部屋に入ってきた少女は、灰崎と一星を見てにっこりと笑った。
「言いがかりは辞めなさいよ灰崎くん。鬼道さんがドーピングしてたこと、信じたくないのは分かるけど少々見苦しいわよ？」
「黙れこの女狐が！！」
表情を変えずに淡々とそう述べたAの胸ぐらを灰崎が掴み、拳を振りかざす。明日人が灰崎を止めようとするが、Aは更に口角を上げるとこう言った。
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エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえると励みになります^_^更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
名無しのりんご - 面白いですね。綺麗な表現がたくさんあって素敵です。頑張ってください！ (2019年12月23日 1時) (レス) id: 694c2bbe46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2019年11月16日 12時
