第90話 ページ41
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大きな目覚まし音で、Aは飛び起きた。そして、気怠そうに目覚まし時計に手を伸ばしアラームを止めると、薄明るい外に目をやった。
「…久しぶりに見たな、あの夢。」
彼女はそっと、自分の目頭に手を当てるとそう呟いた。夢の名残か、彼女の瞳にはまだ涙が残っていた。
「タイミングが良すぎて笑っちゃうな。」
彼女は肩をすくめると、ゆっくりとベッドから立ち上がり、机の上に置きっぱなしにしていた水を一気に飲み干した。
「…大丈夫、きっと大丈夫。」
何に対しての言葉なのかは分からないが、蘇芳色の美しい少女は自分に言い聞かせるかの様に、真剣な面持ちでそう言った。
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身支度をすませ、パソコンに手を伸ばしたAをノック音が止めた。Aは一瞬顔を顰めたが、次の瞬間聞こえてきた声で、その顔が驚きへと変わった。
「新妻さん、おはようございます。マネージャーの神門です。今日の練習のことで、伝えたいことがあって来ました。」
しっかりとした調子のソプラノによって伝えられた言葉に、Aは驚きと戸惑いが隠せなかった。
まず、この場に及んで自分を練習に参加させようとする彼らの思いも知れなかったし、何よりも神門杏奈という少女が自分を訪ねてきたということも信じられなかった。
「…ああ、ご親切にどうもありがとう。でも、生憎体調が悪くって、今日はお休みさせて頂きます。」
ドアを開けたら、何かしらボロが出てしまいそうで怖かった。そう思った彼女は、ドア越しに出来る限り愛想の良い声で杏奈に返事をした。
「…そうですか、分かりました。では、明日の試合に向けてゆっくり休んで下さいね。」
杏奈の優しい言葉を聞きながら、Aはそっと目を閉じると、「ありがとう」とだけ言いドアから離れた。
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エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえると励みになります^_^更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
名無しのりんご - 面白いですね。綺麗な表現がたくさんあって素敵です。頑張ってください！ (2019年12月23日 1時) (レス) id: 694c2bbe46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2019年11月16日 12時
