第54話 ページ5
円堂がタイムトランスを止めたことで、チームの士気が一気に上がり、灰崎とヒロトが立て続けにゴールを決めた。
焦りの表情を浮かべる一星に対し、Aは少しほっとした様な笑みを浮かべていた。このまま同点まで追いつけば、勝てる可能性はある。Aはそっと目を閉じ、この試合の穏便な終幕を願った。
その後も日本は勢いに乗っていた。明日人は敵チームの選手をかわすと、鬼道にパスを送った。
「鬼道さん！俺に考えが…！」
そう言った氷浦に、鬼道はパスを回した。ボールを受け取り走り出す氷浦に向かって、一星が険しい顔で走っていく。
「そうはさせない…！妨害してやる！」
スパイクから鏡を出した一星を見て、Aは焦りの表情を見せた。
「…充、ダメだ！」
思わず彼の元へ走り出しそうになるが、グッと堪え地面を睨みつけた。ここで動けば、状況が更に悪化する。彼を見捨てる訳じゃ無いが今は大人しくしておくべきだ、と彼女は思った。
氷浦が氷の槍を打つと、鬼道、不動、灰崎がそのままデスクラッシャーゾーンを放った。ただでさえ威力のあるデスクラッシャーゾーンに氷の槍の威力も加わり、シュートはかなり強烈な物へと進化した。
その強烈なシュートは一星やオーストラリアのDFを蹴散らし、見事にゴールへと突き刺さった。
イナズマジャパンは皆ゴールが決まったことに喜んでいたが、Aはやや浮かない表情で一星に目をやる。ちょうど、鬼道が倒れている一星に手を差し伸べている所だった。
「大丈夫か、一星。…立てるか？」
そう言って手を差し伸べる鬼道を暫く見つめ、一星はゆっくりと彼の手を取った。鬼道はそのまま一星を引っ張り上げたが、急に手の力を緩めた。
「ぐはっ！」
思いっきり尻餅をついた一星は、キッと鬼道を睨みつける。しかし鬼道は顔色一つ変えず、一星にこう言い残しその場を去った。
「すまん、手が滑った。」
このやり取りを見て、怪訝な顔をしたのはAだけではなかった。明日人も、不思議そうな顔をして彼らの方を見ていたのだった。
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エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえると励みになります^_^更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
名無しのりんご - 面白いですね。綺麗な表現がたくさんあって素敵です。頑張ってください！ (2019年12月23日 1時) (レス) id: 694c2bbe46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2019年11月16日 12時
