第86話 ページ37
「どうして円堂さんはそのことを？」
彼の話を聞き、明日人が不思議そうにそう尋ねた。そんな彼に、円堂は「サッカー記者の人から聞いたんだ」とだけ答えた。
「オリオンは身寄りの無くなった一星と新妻を助けた。だから彼らはオリオンに逆らえなくなった、という事ですか。」
基山が円堂の話をまとめると、明日人と円堂が再び声を上げた。
「それが本当なら、俺たちで何とかしてやれるんじゃないのか？」
「あいつらが道を外れようとしているなら、助けてやろうじゃないか！」
しかし、灰崎とヒロトが彼らの意見に異を唱える。
「待てよ！！可哀想な事情があったら、何をやっても良いのかよ？」
「確かにそれだけで許しちまうのはなぁ…。」
明日人が言葉に詰まった時、「待つでゴスッ」と癖のある口調をした人物が声を上げた。
「一星くんには、悪の組織に従わなければならない事情があるでゴス。…実は、一星くんの弟の光くんと文通してたでゴス。」
それを聞いた万作と氷浦は、驚きを隠せず岩戸の顔を凝視する。そんな彼らにお構いなく、岩戸は更に言葉を続けた。
「円堂さんは1人ぼっちと言ってたでゴスが、実は一星くんには、弟がいるんでゴス。俺、その事情を知ってしまったでゴス！」
彼の話を聞いて、一同は目を丸くした。岩戸はひと息つくと、再び喋り始めた。
「一星くんの弟の光くんは、重い病気にかかってるんでゴス。きっと一星くんは、光くんを助けるために悪の組織の言いなりになってるんでゴス！…それに、一星くんと新妻さんが怪しい奴と会っている所を見たでゴス。新妻さんの顔はよく見えなかったでゴスけど、その時の一星くんの表情は悲しそうだったでゴス。」
岩戸は、先程目撃した一星の表情を思い出しグッと目を瞑った。
「俺、思うんでゴス。一星くんは、大好きなサッカーを裏切っても、弟の光くんを助けたいと、覚悟を決めていたんでゴス！本当は、一星くんは誰よりも、サッカーが好きな人なんでゴス！」
「…病気の弟が人質って訳か。だから一星くんは、オリオン財団の指示に従ってきた訳だね。」
野坂が彼の長話を綺麗にまとめた。
「まあ、一星の事情は分かったけどよぉ、それじゃ新妻は喜んでオリオンに従ってるってことか？」
ずっと彼の話を黙って聞いていたヒロトが、怪訝そうな口調でそう言った。しかしそんな彼に、やや高めの声をした人物が反論した。
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エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえると励みになります^_^更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
名無しのりんご - 面白いですね。綺麗な表現がたくさんあって素敵です。頑張ってください！ (2019年12月23日 1時) (レス) id: 694c2bbe46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2019年11月16日 12時
