第75話 ページ26
しかし、その後も日本は上手く動けていなかった。あっさりと2点目を許した西蔭を見て、一星は口角を上げる。
「俺の出る幕は無さそうだな。」
そして、ゴール付近にいるAに目をやった。彼女は悔しそうにしている西蔭をじっと見つめており、その表情からは普段の笑みが消えていた。
「…ほら見ろ。お前も大概、分かりやすいよ。」
一星は少し呆れた様な口調でそう言うと、彼女から目を逸らした。
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一方その頃、スタジアムの前に一台の車が止まり、中から1人の少年が出てきた。その少年はスタジアムを見上げると、「ただいま」と言い微笑んだ。
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休憩中、剛人が監督に自分を出す様にと説得しているのを聞きながら、Aは地面に座りぼんやりとグラウンドを眺めていた。
「仮面が剥がれてるぞ。」
頭上から降ってきた声の方に顔を向けると、そこには一星が立っていた。彼は彼女とは対照的に生き生きとした笑顔を見せており、Aの横に腰掛けた。
「何がそんなに不満なんだ？今日ほど俺達にとって有利な試合は無いだろ？昨日はあんなにノリノリだった癖にどうした？」
一星は笑顔を称えたまま、Aの顔を覗き込む。Aは微かに眉を歪めたが、再びグラウンドに顔を向けるとため息混じりに答えた。
「何言ってんの。私が不満そうに見える？嬉しくて今にも舞い上がりそうだよ。」
そんなAの横顔を見て、一星は苦笑した。
本当に、この少女は分かりやすい。きっと、自分以外の人物に声を掛けられたらいつもの笑顔を見せるのだろう。彼女が今見せてくれている表情は、自分の特権だと思っている。
「…けどもう直ぐ邪魔者が来るから、気が気じゃないの。」
声のボリュームを落としてそう言ったAを、一星は凝視する。
「…邪魔者？」
「そう、邪魔者。…ほら。」
Aはそう言うと、イナズマジャパンが集っているベンチの方に目を向けた。
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エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえると励みになります^_^更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
名無しのりんご - 面白いですね。綺麗な表現がたくさんあって素敵です。頑張ってください！ (2019年12月23日 1時) (レス) id: 694c2bbe46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2019年11月16日 12時
