第74話 ページ25
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次の日のサウジアラビア戦は、不測の事態により出場できない円堂に代わって西蔭が正ゴールキーパーを務めることになっていた。
西蔭はゴール前に立ち、完成の渦巻くグラウンドを見渡した。
「俺が日本代表のゴールを…。出来るなら野坂さん、貴方と一緒に、このフィールドに立ちたかった。」
遠い彼に思いを馳せ、西蔭はそっと目を閉じた。
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円堂の不在で、日本は明らかに動揺していた。チームの柱的だった存在がいない今、一体誰がこのチームを纏めるのだろう。自分が仕組んだこととはいえ、心が痛む。
「さて、どうなることやら。
…でも、きっと大丈夫。」
自分のポジションについたAは、少々気怠そうな表情で空を見上げ、小さくそう呟いた。
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いよいよ試合が開始された。最初ボールは日本の物だったが、直ぐにウズベキスタンに奪われてしまう。岩戸と風丸が抜かれていくのを見ながら、Aはどうするべきか考えていた。
出来ることなら、今ここでボールを奪い取りたい。そんな考えが過ぎったことに内心驚きつつ、Aはふっと微笑むと相手選手に目配せした。
「しまった！！」
風丸の声を聞きながら、彼女は更に口角を上げた。そんな彼女の表情を見た風丸の眉間にシワがよる。
風丸の表情を確認したAは、ペロリと舌を出すとゴールの方に目をやった。
「レクイエムダスト！」
敵チームが打ったシュートに、西蔭は身動きが取れなかった。そんな彼に、ダストが近づき声をかけた。
「おい、お前。逆サイドを突かれては流石に取れない。そう思ったよな？」
西蔭は黙って彼を睨みつける。
「それは間違った認識だ。俺のシュートは例え正面でもお前は取ることが出来ない。…試してみるか？本当か嘘か。」
そう言い残し去っていく彼の背中を見ながら、西蔭は悔しさを噛み締めていた。
司令塔がいない今、自分が弱気になっていてどうする。自分は野坂さんの居場所を守るのだ。西蔭は心の中で自分に喝を入れると、キッと前を見据えた。
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エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえると励みになります^_^更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
名無しのりんご - 面白いですね。綺麗な表現がたくさんあって素敵です。頑張ってください！ (2019年12月23日 1時) (レス) id: 694c2bbe46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2019年11月16日 12時
