第69話 ページ20
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次の日の練習に、Aは参加しなかった。皆がグラウンドで練習しているのを横目に、美しい髪をなびかせて合宿所を抜け出した。そして彼女が向かったのは、人気の無い林の中だった。そこには、黒いスーツを身に纏った一人の男が立っている。
「お待たせしました。」
普段の笑みを浮かべ、Aは愛想よく彼に声をかけた。
その男は、「ああ、来たか」とだけ答えると、彼女の前にタブレットを差し出した。画面の中には、髭の長い老人が映っている。
「ご無沙汰しております、ギリカナン理事長。今日は一体どう言ったご用件で？」
Aはにっこりと微笑み、画面の中の人物に問いかけた。ギリカナン 理事長と呼ばれたその老人は、低い声で答える。
「近況確認だよ。鬼道有人を排除したというのはのは聞いたが、その後の日本の様子を知りたくてね。…分かっているか？君たちの役目は日本をアジア予選で敗退させること。それが出来なければ何の意味も無いのだよ。」
Aは、「黙れこの老いぼれが！」と叫びたい衝動を必死に抑え、更に口角を上げて答えた。
「もちろん分かってますよ？ご安心下さい、日本は確実に潰します。…ただ、少し時間が欲しいのです。今日や明日で片付けろなんて、少々無茶だと思いませんか？」
それが、彼女が現時点で出来る唯一の反抗だった。Aは、彼らに気付かれぬ様握りしめた拳をそっと後ろに隠した。
「…まあ良い。しかし、よく覚えておく事だ。君にも一星君にも、選択肢など無いということを。」
反抗しようなんて、馬鹿なことは考えるな。逆らえば、大事な者を失うぞ。老人の言いたいことは、そんなところだろう。相変わらず腹ただしい、とAは思った。
しかし、その言葉は声に出さず、にっこりと笑い「ええ、心得ております」とだけ答えた。
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その日の夕方、一星はグラウンドで特訓をしているイナズマジャパンをフェンス越しに眺めていた。そして、いつの間にか横に立っていた趙金運と小文に気付くと驚きの声を上げた。そんな彼に、趙金運は問いかけた。
「貴方は何故皆と一緒に練習しないのですか？」
「俺がいれば揉めるだけでしょう。じゃあ俺はこれで、失礼します。」
一星はそれだけ答えると、趙金運に背を向けた。
「新妻さんはどうしたんですか？」
更に問いかけてくる彼に内心苛立ちつつ、一星はぶっきら棒に答えた。
「知りませんよ。俺と新妻さん、そこまで仲良い訳じゃありませんから。」
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エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえると励みになります^_^更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
名無しのりんご - 面白いですね。綺麗な表現がたくさんあって素敵です。頑張ってください！ (2019年12月23日 1時) (レス) id: 694c2bbe46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2019年11月16日 12時
