俺がいる。【伏黒恵】 (ページ7)

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7話ページ7

『恵、どうしたの？』

伏「…いや、その」

あまりにもすんなり言わない伏黒に痺れを切らしたAは、部屋の中に入るように促した。ポリポリと頬をかきながら入ってきた伏黒に、適当に座ってと言って、冷蔵庫に入ってたペットボトルのお茶を、今日のお礼、と言って差し出す。

伏「…」

『…もしかして、寝れないの？1人で』

伏「は？」

『今日は特別ベット使って良いよ。私ソファーで寝るから。でも明日は悠仁か野薔薇のとこ行ってね』

ファ～と欠伸をしながら寝る支度をするA、伏黒がさっさと要件を言わないからどんどん変な方向に事が進んで来ている。

しーーん。

伏「何で俺はちゃんとこいつのベッドで寝てんだ…」

これじゃあ本当に1人で寝れない奴じゃん、と自分の状況に呆れ、ボソッと独り言を呟く。

伏「…寝たか？」

『うん』

伏「起きてんじゃねーか」

『うん』

伏「今日は寝に来た訳じゃなくて…昼の事謝りに来た。悪かった」

『なんかされたっけ私』

伏「お前に割と酷い事言った」

『あぁー。別に酷い事にはいらないけどな…私の事情知らなかったら当然思う事だろうし…まさかそれ言う為にこんな時間取らせたの？』

伏「こんなって、お前迷惑だったのかよ！言えよ！」

『…寝に来たんじゃないなら、ベッド返して。』

伏「気が変わった。寝る、おやすみ」

『…おやすみ』

何なんだコイツ、と思いながらAも目を閉じる。一方伏黒は、いつもと違う匂いを感じながら、寝づれぇ～と思ったのも束の間、一瞬で夢の中に落ちたのであった。

『……恵起きて。パン焼いたけど食べる？』

伏黒の視界がクリアになると、ベッドの高さまでしゃがんで自分を起こすAが目に入った。元々整っていると思っていた顔も、近くで見るとより一層わかる。大きな目は長い睫毛がびっしりと生えていて、より大きさを引き立てている。スッと通った鼻筋に、小さい小鼻とほんのり赤い艶のある唇、それぞれ整ったパーツが、これまた小さい顔に上手く配置されている。そして半袖の寝巻きから出る腕は透き通る様な白い肌をしていた。

『寝ぼけ、、て、る？』

伏黒は気づいたら、Aの頬に手を添えていた。そして親指で更に頬を撫でていた。

『……なんか顔についてる？』

「…っ！！」

我に帰った伏黒は、悪い！と言いすぐAの部屋を出たが、タイミング良く隣の部屋から出てきた釘崎と鉢合わせしてしまったのだ。