俺がいる。【伏黒恵】 (ページ5)

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5話ページ5

1年が4人になって5日が経つ頃。一つ気づいた事があった。

伏「よ、弱ぇ…」

『はぁ、はぁ…もう一回』

そう。Aはめっちゃ弱い。1年で呪力を使わず組手をやれと言われたけれど、これじゃあお話にならないレベル。正確に言うとザ・普通。この前実地試験後に行ったお寿司でも、皆無理すんなと言われ頑張った結果7皿。そう頑張っても普通なのだ。

虎「ち、ちょっと休憩しろよ？なっ？」

釘「そ、そうよ！飲み物奢ってあげるから！」

『………平気、走ってくる。』

でも不思議な事がある。Aはこうして暇さえあれば走ったり、筋トレしたりしている。高専にAが来てからはそれを毎日見てる。と言う事はココに来る前からそれは習慣づいてる事なんだろう。なのにどうしてこんなに弱いのか、皆はとても疑問に思っていた。

『……はぁ、はぁ』

伏「オーバーワークって言葉知ってるか？…ほら。」

ランニングから帰ってきたAを待っていたのは伏黒。ほら、と言われ顔を上げればスポーツドリンクを差し出されていた。

『…ありがと』

伏「お前暇さえあれば毎日筋トレしたり、ランニングしたりしてるだろ。呪術師になる前に潰れるぞ。」

『私は皆と違う。休みはちゃんと休んでるよ。』

またあの言葉。言葉数少なくとも淡々とその言葉を告げるAに、何故こうも強がるのかと伏黒は感じていた。

伏「お前相当な負けず嫌いかなんかか？」

『…そうでもないと思うけど』

伏「っじゃあ"皆と違う"ってあの言葉は何だ。正直大口叩いて見下してる様にしか聞こえねぇ。その割に大した事ないというか…厳しい事言う様だが、お前呪術師向いてないんじゃねーの？」

虎「っ言い過ぎじゃねーのか！伏黒！」

釘「ちょ、虎杖！！出て行くなバカ！」

物陰から2人の会話を聞いていた虎杖と釘崎。伏黒の言いように我慢できなくなって、ついに出てきてしまった虎杖を必死に止めるが時すでに遅し。

『言い過ぎなんて事ないよ。私も自分で自分に苛つくし。でも私は向いてなかろうが呪術師にはなるよ。人生を左右する選択肢を出された時、自分にとって良い人生になる選択肢を取っただけ』

伏「呪術師になるって選択肢がお前にとって良い人生になるって事か？」

『そう。因みに私が皆と違うのは本当の事。私はここまでしないと普通にはなれないから…』

虎「それって、どういう…」

Aの発言に皆の頭の上にハテナが浮かぶ。