俺がいる。【伏黒恵】 (ページ36)

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36話ページ36

高「なかなか戻ってこないから、見に来たんだ」

『す、すみません…』

高「謝らないでよ！もしかしてこうゆうの初めて？」

『はい…』

高「実は僕もなんだよね…ねぇ、良いこと思いついたんだけど、慣れてない同士2人で抜け出さない？」

『はい？』

突然の高田の提案に驚きを隠せないA。そんなのお構いなしに高田は話を続ける。

高「近くに行きつけのお店もあるし、その方が気を遣わずゆっくりお話しできると思うんだ」

そう言うとAに詰め寄り、右腕は肩に回し、そして左手はAの左手の上に重ねてギュッと握る。そしてそのまま引っ張られ立ち上がると、行こっかっと足を進めて行く。

『ちょ、、い、行かないです！』

Aは振り払おうとするも、しっかり肩まで抱かれていると簡単には払えない。そもこも呪力を使わないAでは到底力で敵わないのだ。

抵抗を見せるAに力を強める高田。するといきなり触れていた肩と手に高田の感触が消えた。

？「あの、勝手に触んないでもらえます？」

聞き覚えのありすぎる声に、Aは思いっきり振り向く。

『恵！なんでいるの！？』

突然現れた伏黒はAの腕を引いて、高田の側から離すと見せつけるように抱き寄せた。Aはそのまま伏黒の腕の中に収まると、高田は驚いた様子で口を開いた。

「何なの、君？もしかしてAちゃんの彼氏？」

『え、ちが…』

伏「馴れ馴れしく名前呼ばないで下さい。帰るぞ、"A"」

高田の発言に慌てて口を開くも、伏黒に遮られる始末。オマケにいつもは言わない名前を言われ、Aの脳内はパニック状態。そして首だけ縦に動かし、頷いた。

高「ちょ、ちょっと！彼女はこれから僕と…」

伏黒は諦めの悪い高田に近づくと耳元で囁いた。

伏「まだわからないですか？Aは俺のだから」

そしてマヌケな顔で立ち尽くす高田を横目に、伏黒はAの手を取り自身の指を絡めると、そのまま歩き出して店を出た。

暫く歩き、先に口を開いたのはA。

『2人に何も言ってないや…』

伏「俺から連絡入れといた。2人の事より自分の心配しろよな」

『いつの間に！？…ありがとね、恵』

伏「おう。てか合コンなんて行くなよ。どうせ釘崎に無理矢理連れて来られたんだろうけど」

『いや、私も行きたくて行ったんだ…』

伏「は？」

思いもよらない発言に驚きを隠せない伏黒。