恋愛初心者 ２【Fischer's 】

QR ページ11

「テキトーに好きなところ座ってて下さい」




『テキトーに』って。

その対応がすでにテキトーだろ(笑)


Aはなんの悪気もなくそう言って、冷蔵庫を開ける。




「お茶かジュースかビール。 どれが良いですか？」


シ「お茶で……。 てかAって酒飲むの？」


「友達が部屋来たりすると飲みます。 これでももうすぐ２１なんで」



２１ねぇ……。

そう言いながらオレンジジュースを飲む姿に、意外だなーなんて思う。

見た目幼すぎて酒飲んでるの想像つかねぇわ。


ってか今この状況で男に酒勧めんなよな、マジで。




シ「強いの？」


「う〜〜ん。 どちらかと言うと強いかもですね」


シ「へぇ、意外すぎんだけど」


「よく言われます(笑)」


シ「酔いつぶれたりしないの？」


「たまにつぶれますー。 ヤケになってたりすると」


シ「(笑)」




いつものバイト姿じゃ想像つかないけど、やっぱこいつも普通の人間なんだよな。

常に笑ってるから一見、負の感情なんて疎遠そうだけど……。




シ「そーだ。 今日さ、お前に似た着ぐるみ見かけたわ」


「っ、へ〜。 それはまたびっくりですねー。 ぜひ見てみたいな〜……」


シ「送るわ(笑) はい、これ俺のQR。登録して」


「えっ？！」




スマホの画面に俺の連絡先のQRコードを表示させてAの前に差し出すと、「なにしてるんですか！」と止められる。




「そんな簡単に連絡先教えちゃダメですよっ。 シルクさん、有名人でしょ！」


シ「お。なんか思った以上にしっかり者(笑)」


「なんですかそれ(笑) ちょっとムカつく……！」




こういうAの他人の状況を考えてくれるところ、俺は割と気に入ってる。


『ムカつく』っていうのは余計だけど(笑)

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