ツリメVer. ページ3
｢みっくん、夜何食べるー？｣
｢えーなんでもいい｣
そう。彼は優柔不断である。
疑問形で聞くと大体
｢どっちでもいいよ｣か
｢Aちゃんの好きな方でー｣か
｢んー迷うな｣
である。
自分もあまり物事をはっきりさせるのはあまり好きではないから
みっくんに聞いているのに
疑問形が疑問形で帰ってくるような
言葉のキャッチボールである
｢それ一番困る｣
なんて言うと
｢怒らないでー｣
と焦ってひょこひょこと
こっちへやってきた
｢ハッキリしてよー｣
と少し強めに言うと
｢ごめん…｣
ってしょぼんとした顔で言われて
まるで子犬が技を覚えたのにおやつをやらない
ような罪悪感。あぁ、恐ろしい
｢怒ってないよ、今日はオムライスにしよっか｣
これでいつも終わる。
｢やった！確かに丁度俺も食べたかったかも！｣
ならなぜ出てこなかったのか、
でもこれが彼を愛おしく想える1つのポイント、である
｢ねぇ、俺のこと嫌い？｣
っていつもより低い声で言われてちょっとドキッとしたのは秘密
｢嫌いな人に手料理作らないから｣
｢なら好き？｣
何なんだコイツは。正真正銘の天然だな。
堪んねぇぜおい
｢好き、大好き、この身に何があっても愛してる｣
｢そ、そんな？！｣
目を見開いて歯を見せて笑う
しかもそのくいっと上がった口角が
こりゃまたやべぇんだって
｢あ、照れてる｣
｢いやぁ、これは照れない人いないですね｣
なんか言葉がおかしくなっているツッコミが出来ないほど、紅潮している彼が可愛い
｢オムライスまだかな｣と手元を覗き込まれ話を逸らされるが
私はじっとみっくんを見る
髪に隠れてよく分からないが
ちらちらとこっちの顔色を伺っているのが
見えた
それに堪らず
｢可愛い｣
と声を漏らし
彼に抱きつく
あぎゃっなんて小さく奇声が聞こえたが
お構いなくに硬直する彼にハグする
｢心臓の音やばいよです｣
またまた言葉がおかしいよ
なんて言えるはずもなく
｢そっちもね｣
と素っ気なく返した
｢今日やっぱ…ハンバーグがいい｣
まさかの返答にちょっと笑ってしまったが
｢分かった｣
と、一言また返す
｢こっち向いて｣
と耳元で囁かれて
ふいっとみっくんの方を向くと
触れるだけのキスをした
｢今はここまで…｣
と言い残してせっせと部屋に入っていった
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作者名：しらごり | 作成日時：2019年1月30日 19時
