ツリメVer. ページ11
｢ごめん遅れたー｣
と手を合わせて言うと
｢俺も今来たよー｣
と少し照れくさそうに答えた彼氏、
カレカノになって初めての花火大会
毎年ベランダでお母さんとお父さんとで
見ていたけどそれはもう去年まで
ちょっと家族には悪い気もしたけど
今年は彼氏と見るって言ったら
赤飯を炊こうとしてて急いで止めた
｢やっぱ浴衣暑いわ｣
と足のとこをパタパタさせているみっくん
セクシー。吐血。昇天。
てか今度ムダ毛そってもらおう
｢ねー、私服でよかったかも｣
｢いや、やっぱ浴衣がいいよね｣
｢えぇ？｣
イオンで買った浴衣。イオン最高
｢何食べよ｣
｢とうもろこし食べよ｣
｢いいね、たこ焼きも買おう！｣
って屋台をぐるぐる歩いてたら
唐揚げや焼き鳥、水風船で両手いっぱいになっていた
｢穴場スポットじゃん｣
そう言って入ったのは階段を上がって、
少し木を抜けたとこにあったベンチ
｢ラッキー！独占じゃん｣
｢もうすぐだしね、花火｣
変な感じにドキドキしてしまって、
紛らわすために唐揚げを口に放り込む
｢りんご飴取ってー｣
｢はい、うまいよこれ｣
｢あー食べないでよ！｣
｢イカうまい｣
｢それは誠に遺憾だ｣
｢は？｣
｢え？｣
ﾌﾞﾌﾞｯ
｢吹き出した！｣
｢おめぇのせいだよ｣
とかたわいもない話をしていると花火が始まる5分前になっていた
｢やべぇもう始まるじゃん｣
｢眠い｣
｢うそでしょ｣
｢ほんとじゃないって言ったら嘘になる｣
｢眠いんじゃん、もしかして勉強してたの？｣
｢いや、そうじゃなくて｣
｢寝不足？｣
｢まぁ、そんな感じ｣
理由を聞いてもいないのに頬を赤めて一瞬風邪かと思った
｢今日終わったらすぐ寝なよ｣
｢うん｣
目を擦りながらあくびをして答えられた。不安だ。
ドォォォオン
｢あ、きた！｣
｢すげぇ！でけぇ！｣
｢やばいね｣
始まって数分経ったところで、
みっくんが横目でこっちを見てきた
｢あんね、今日寝不足なのは｣
｢？｣
｢今日のこと考えて眠れなかったんですよ｣
｢えやべぇ可愛い｣
｢だから…ごめんね｣
｢いやいやいや、全然悪くない
来年も一緒見よう、再来年も、｣
って言うとニコッと笑って私を抱きしめた
｢ありがとう、A｣
今年も綺麗な花火でした
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作者名：しらごり | 作成日時：2019年1月30日 19時
