クッションあげる、落ち着いて。 ページ9
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廉「それから…、なんやっけ。いつまで居るかっていうんは、この瓶がいっぱいになるまで。」
それまで沢山Aを幸せにしたるからな!と再び微笑んできて、また気分がふと浮上する。
明らかに年下に見える天使に振り回されるアラサーの私って…。
廉「さっき言ったとおり、A専属の天使やから、他の人には見えへん。」
ソファに置かれたクッションを抱き締めながら、質問の続きに答えてくれる。
廉「俺がすることと言ったら、Aが幸せになれるように手伝うってくらいやけど、いまいち何をすればええのか俺も分かってないねん。」
クッションの柔らかさが気に入ったのか、両手で掴んだりきつく抱き締めたりしながらゆらゆらと身体を揺らす。
そして最後に、「人間のご飯は食べられるけど、別にお腹は空かんから要らんよ。」と付け加えた。
そこで生まれた、新たな疑問。
『廉って、これからどこに居るつもりなの?』
私の言葉に不思議そうに何度か瞬きをしながら、
廉「何言ってるん。常にAと居らなあかんに決まってるやろ。」
『え…っ!一緒に生活するってこと!?」
その言葉に愕然とした私は、思わず廉の腕を掴んだ。
廉は目を大きく見開いてぎょっとしながらも何度か頷いて、宥めるようにクッションを差し出してきた。
廉「とりあえず落ち着いて。このクッション、触り心地最高やで。」
……私の部屋にあるんだから、知ってるっていうの。
それよりどうする?
別に今、付き合っている人が居るわけじゃないから、そういう問題は心配要らない。
でも廉が毎日私と一緒に生活するって、その試験とやらが終わるまで、私の心臓はもつのだろうか…。
廉「あっちで仲良うしてるしょおって奴が居るんやけど、あいつは一緒にお風呂入ってたとか言ってたな。…な、お風呂一緒に入る?」
ぐいっと顔を寄せてきて、視界いっぱいに広がる廉の端正な顔。
ほんの1時間前から次々と起こる信じられないような現実に、遂に私は考えることを放棄した。
ソファの背凭れに勢い良く倒れた私の身体を咄嗟に支えながら、廉は慌てたように声を上げる。
廉「えっ!?A!どうしたん!?しっかりしてや!」
神様、……いや、この際、天使様。……廉よりうんと偉い天使様。
私はこれから一体どうしたら良いのでしょうか。
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咲笑(プロフ) - ぴまさん» 初めまして。感想ありがとうございます!その曲は知らないのですが、マッチしていたようで良かったです!番外編は、紫耀くんや海人くんにももっと沢山出てもらおうと思ってます。良かったらまた遊びに来てくださいね^^ (2020年6月21日 3時) (レス) id: 83fdcbd5fb (このIDを非表示/違反報告)
咲笑(プロフ) - さやりんさん» 初めまして。感想ありがとうございます!今回はとことん純真無垢な可愛い廉くんにしたかったので、癒されると言っていただけて嬉しいです。番外編では、もっといろんな顔を書いていけたらと思っていますので、また良かったら遊びに来てくださいね^^ (2020年6月21日 2時) (レス) id: 83fdcbd5fb (このIDを非表示/違反報告)
ぴま(プロフ) - はじめまして、完結おめでとうございます!とても綺麗なお話で途中うるうるしながら読んでました> <私が好きな曲で天使はいたんだという曲があるんですけど、完全にこの物語とマッチしていたのもあって本当に好きなお話でした> <番外編楽しみにしてます^^ (2020年6月20日 17時) (レス) id: 3bbab8bcdb (このIDを非表示/違反報告)
さやりん(プロフ) - 初めまして!完結お疲れ様です。めちゃくちゃ面白くて更新が待ち遠しかったお話でした。もぉ、天使なれんが毎回可愛すぎました!お話読むたび癒されました^ ^番外編も楽しみにしております!本当に完結お疲れ様でした!! (2020年6月20日 8時) (レス) id: 0eb138626a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲笑 | 作成日時:2020年6月8日 0時