初めまして、天使です。[Ren.N]

初めまして、人間の廉です。 ページ49

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今日は休日。
最近はあまりやる気が起きなくて、ソファにのんびり座っていることが殆ど。

相変わらず心にぽっかりと穴が開いているような感覚。
でもそれが何故なのか分からなくて、ずっとモヤモヤしている。
これでは駄目だ、と思って、せめてコンビニに行こうと立ち上がる。

スマホと財布だけ持って、家を出る。
最近ハマりだしたチョコレートケーキ、今日はあるかな？
そんなことを思いながら歩いていると、何もないはずの頭上から声が聞こえてきた。


―― あかんっ、避けて！


この状況で避けられる人って居る？
耳に入ってきた少し高めの関西弁に反論する間もなく、私の身体は道路に倒れた。


私の上に人が落ちてきた！？
その人は慌てて私の上から飛び退いて、ペコペコと頭を下げている。


―― ほんまにすいません！怪我ないですか？



私に向かって差し伸べてきた手を掴んで起き上がると、ほっとしたように笑う彼。


『……ん？あれ、どこかで会ったことあります？』


……これじゃナンパみたいじゃん。
思わず聞いてしまってからマズかったなと考えていると、その人は嬉しそうに笑った。


―― んー、少し前に会ってたかも知れません。


会ってた、なんて不思議なことを言う人だ。
でも何故か、この人と話していると、心に開いた穴が埋まっているような気がする。


初めて会ったはずなのに、懐かしい。
胸の奥で、何かが弾けるような気がした。



『あの…、お名前は？』



またもや無意識のうちに聞いてしまった。
でもこの人のことを、もっと知りたいと思ってしまう。


私の言葉に、その人は嫌そうな素振りを見せることもなく、真っ直ぐに見つめられる。
そしてにっこりと笑った。




―― 初めまして、廉です。





end.



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