[Ren side] さよなら、天使。 ページ48
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紫耀「そう言うだろうと思ったよ。」
結論を出した俺は、そのまましょおのところへ向かった。
しょおは、俺の答えを最初から分かっていたかのように笑っている。
紫耀「いつ出てく?」
廉「……お前は寂しくないんか?」
紫耀「俺が寂しがったって仕方ねーじゃん。」
あっけらかんと話すしょおを見ていると、じわじわと涙で視界が滲む。
紫耀「おい、泣くな。中途半端な気持ちで人間になるような奴に、Aは任せらんねーぞ。」
しょおの言葉に慌てて目元をシャツで拭う。
そうや、しょおやって、Aのことを大切に思っていたはずや。
廉「しょお、どうやったらあの場所に行けるん?」
涙を拭って、真っ直ぐに見つめる俺に、しょおは満足そうに笑って、背中に手を添えた。
紫耀「俺が背中を押したら、お前はあの世界に行けるよ。」
廉「……しょお、ちょっと待って。」
なんだよ、と首を傾げるしょおの背中に腕を回して、きつく抱き締める。
言葉では伝えきれないくらいに、感謝してるから。
廉「しょお、今までありがとう。お前のお陰で、幸せになれる。」
紫耀「お前が幸せになれるなら、なんでも良いんじゃないの?」
廉「んふふ。…な、俺が人間になったら、見守ってくれる?」
紫耀「えー、やだよ。こんなガリガリ。」
それでもしょおは、逞しい腕でがっちりと抱き締め返してくれながら。
―― でも、まぁ。見守ってやるよ、俺の大切な弟だから。
そう耳元で囁かれたから、もう一度涙が出た。
でも、泣くのはこれで終わり。
しょおと再びきつく抱き締め合うと、身体を離す。
紫耀「準備は良いか?」
廉「うん。……あ、海人には、」
紫耀「大丈夫。ちゃんと言っておくよ。」
俺は雲の淵に立った。
後ろからしょおは俺の背中に手を添えて、何度か優しく撫でてくれる。
紫耀「じゃあ、行くぞ。」
廉「……怖いな、本当に無事に降り立てるん?」
雲の上から落ちて、ちゃんと降り立てなかったら、それこそ終わるやん。
でもしょおは相変わらず楽しそうに笑っている。
紫耀「俺はそこそこ優秀な天使だぞ。失敗なんかするか。」
―― それじゃ。元気でな、廉。
しょおが俺の背中をとんっと強く押したとき、俺の身体は眩しい光に包まれた。
思わずきつく目を閉じようとするけれど、これだけは伝えたい。
廉「しょお、行ってきます。愛してるで。」
しょおの少し照れくさそうな顔を見て、それから俺の記憶は途絶えた。
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咲笑(プロフ) - ぴまさん» 初めまして。感想ありがとうございます!その曲は知らないのですが、マッチしていたようで良かったです!番外編は、紫耀くんや海人くんにももっと沢山出てもらおうと思ってます。良かったらまた遊びに来てくださいね^^ (2020年6月21日 3時) (レス) id: 83fdcbd5fb (このIDを非表示/違反報告)
咲笑(プロフ) - さやりんさん» 初めまして。感想ありがとうございます!今回はとことん純真無垢な可愛い廉くんにしたかったので、癒されると言っていただけて嬉しいです。番外編では、もっといろんな顔を書いていけたらと思っていますので、また良かったら遊びに来てくださいね^^ (2020年6月21日 2時) (レス) id: 83fdcbd5fb (このIDを非表示/違反報告)
ぴま(プロフ) - はじめまして、完結おめでとうございます!とても綺麗なお話で途中うるうるしながら読んでました> <私が好きな曲で天使はいたんだという曲があるんですけど、完全にこの物語とマッチしていたのもあって本当に好きなお話でした> <番外編楽しみにしてます^^ (2020年6月20日 17時) (レス) id: 3bbab8bcdb (このIDを非表示/違反報告)
さやりん(プロフ) - 初めまして!完結お疲れ様です。めちゃくちゃ面白くて更新が待ち遠しかったお話でした。もぉ、天使なれんが毎回可愛すぎました!お話読むたび癒されました^ ^番外編も楽しみにしております!本当に完結お疲れ様でした!! (2020年6月20日 8時) (レス) id: 0eb138626a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲笑 | 作成日時:2020年6月8日 0時