天使が踏み出す一歩。 ページ4
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私のところに降ってきた男の子は、“天使”だと名乗った。
『10、sea……?』
「何を言うてんねん。」
あからさまに怪訝そうに眉を寄せた“天使”。
いやいや、この現実世界に天使なんて存在する?
絵本か何かの話でしょう。
「とにかく倒れたままやとばっちいで。起きて。」
立ち上がった彼に手を引かれて、やっと私も身体を起こした。
向かい合ってみると、彼はなかなかの長身。
そして何より、「こんな整った顔した人居るの?」ってくらいの顔面レベルだった。
「まさか人の上に着地してまうとは思わんかった。すいません。」
先ほど私に鋭いツッコミを打ち込んできた彼は、今度は眉をハの字にして謝る。
いや、別に怪我もしてないし、全然ダメージなかったから大丈夫。
……そう言おうとして気付く。
確かにこの“そこそこ長身で、顔面レベルMAX級”の彼が私の上に乗っていたのに。
まったくと言って良いほど、重さを感じなかった。
ちょっと待ってよ。……本当に?
本当に、君は……。
廉「信じられへんかも知れんけど、ほんまに天使なんよ。あっちでは廉って呼ばれてるから。」
“あっち”と空を指差しながら、またあの柔らかな微笑みを浮かべた彼は、廉、というらしい。
いろいろと整理したいことが沢山あるぞ。
どこからスタートすれば良い?
頭の中で一気に情報を処理しようと試みていたとき、彼は続けて言葉を紡ぐ。
廉「俺、見習いの天使やねん。この世界に降り立ったんは今日が初めて。今日が天使としての第一歩や!」
小さな子供が遊園地にやって来たような、目をキラキラさせて話す自称・天使の廉。
確かに彼の身体は、まるで羽根のように軽かった。
でも、それと彼の言葉だけで信じるわけにはいかない。
だって、目の前に立つ彼は、大きめの白いシャツに細身のデニム。
薄いベージュのスニーカーを履いていて、所謂“普通の男の子(顔面は除く)”。
これで天使だと言われても、どうしたらいいものか…。
思わず頭を抱えそうになっていると、彼は「しゃあなしやな…。」と呟いて。
白いシャツの釦をいくつか外し、肩から落とすように脱いで背中を向けた。
そこには小さな羽根が生えていた。
―――――――――――――
廉くんの見た目は読者の皆さまにお任せしたく存じますが、
私は勝手に1stコンの「Bounce To Night」のときの衣裳を当てがっています。
あの萌え袖が堪らんのよ……。
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咲笑(プロフ) - ぴまさん» 初めまして。感想ありがとうございます!その曲は知らないのですが、マッチしていたようで良かったです!番外編は、紫耀くんや海人くんにももっと沢山出てもらおうと思ってます。良かったらまた遊びに来てくださいね^^ (2020年6月21日 3時) (レス) id: 83fdcbd5fb (このIDを非表示/違反報告)
咲笑(プロフ) - さやりんさん» 初めまして。感想ありがとうございます!今回はとことん純真無垢な可愛い廉くんにしたかったので、癒されると言っていただけて嬉しいです。番外編では、もっといろんな顔を書いていけたらと思っていますので、また良かったら遊びに来てくださいね^^ (2020年6月21日 2時) (レス) id: 83fdcbd5fb (このIDを非表示/違反報告)
ぴま(プロフ) - はじめまして、完結おめでとうございます!とても綺麗なお話で途中うるうるしながら読んでました> <私が好きな曲で天使はいたんだという曲があるんですけど、完全にこの物語とマッチしていたのもあって本当に好きなお話でした> <番外編楽しみにしてます^^ (2020年6月20日 17時) (レス) id: 3bbab8bcdb (このIDを非表示/違反報告)
さやりん(プロフ) - 初めまして!完結お疲れ様です。めちゃくちゃ面白くて更新が待ち遠しかったお話でした。もぉ、天使なれんが毎回可愛すぎました!お話読むたび癒されました^ ^番外編も楽しみにしております!本当に完結お疲れ様でした!! (2020年6月20日 8時) (レス) id: 0eb138626a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲笑 | 作成日時:2020年6月8日 0時