大きな花を抱えて。 ページ48
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名前 side
横浜桜木署での最後の仕事を終え、私は部屋を後にした。
係長から手渡された大きな花束は、腕にずしりと重い。
こういうのを、幸せの重さって言うんだろうな。
中井戸さんからデート、とお誘いを受けたけれど、丁重にお断りした。
……予定があるからと言ったけれど、実は何もない。
ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ。
目黒くんに誘ってもらえるかなと思ったけれど、特に何もなかった。
慣れ親しんだ、桜木署の廊下。
この年季の入った、少し暗めの廊下を歩くのも、今日で終わりか。
たまに来る機会もあるかも知れないけれど、いつになるか分からないし…。
玄関が見えてきた。
そういえば前に、ここで目黒くんに後ろから声を掛けられたな。
目黒「苗字さーん！」
リュックを背負って走ってくる目黒くん。
私よりも背はうんと高いのに、リュックが大きく見えて。
でも、頼もしくなったな。
少し前までは子犬みたいだな、なんて思っていたのに。
大きな花束を抱え直しながら玄関を出ようとしたとき、
あのときと同じような声が聞こえた。
目黒「苗字さーん！」
あのときと同じ、大きく見えるリュックを背負って。
そしてやっぱり、子犬のような目で私を見つめる。
私の大切な大切な人。
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咲笑(プロフ) - 結と名乗る者（id: 361e8a8309）のコメントは、すべて削除致しました。感想と呼べるものではないコメントをいくつも一方的に残す行為は、悪質であり、異常としか言いようがありません。今後は私の作品の閲覧及びコメントを残す行為はおやめください。 (2023年4月22日 7時) (
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作者名：咲笑 | 作成日時：2020年3月27日 20時
