おやすみ、元気。 ページ43
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目黒 side
あれからどうやって家に帰って来たのか分からない。
リビングのソファに倒れるように寝転がると、大きく溜息を吐いて天井を見つめる。
目黒「苗字さん…、どういうことですか？」
名前「私も目黒くんが好きだよ。でも同じ署内にいる限りは、付き合うことはできない。」
目黒「あ…、内規があるからですか？」
名前「うん。残念だけどね…。」
別に良いじゃないですか、バレなければ。
周りにバレないようにこっそり付き合いましょうよ。
と言って、頷くような人ではないことは、僕もよく知っている。
でもどちらかが異動するのを待つなんていうのも嫌だ。
いろいろと考えていたら、腕の中にいる苗字さんは楽しそうに笑った。
名前「目黒くん、また百面相みたい。」
前にもそうやって笑われたことがあったな。
あのときも、僕は苗字さんに夢中だった。
僕は腕の中の苗字さんを再びきつく抱き締めた。
目黒「もうちょっとだけ、こうさせてください。」
ちゃんと聞き分けますから。
そう言うと、苗字さんは背中に腕を回して応えてくれた。
名前「目黒くんのことをいつも大切に思ってる。それだけは忘れないでいて。」
苗字さんの言葉に、ゆっくりと腕の力を弱めて、僅かに身体を離す。
真っ直ぐに見つめ合うと、そのまま顔を寄せて……。
目黒「……キスしちゃったー…、」
寝転んだソファの上で悶えるように足をばたつかせる。
そうなんです。
僕、苗字さんとキスしちゃったんです。
そのあとは苗字さんが使っている駅まで、手を繋いで一緒に歩いた。
改札を通るとき、苗字さんは名残惜しそうに手を離して。
名前「また明日からよろしくね、目黒くん。」
送ってくれてありがとう、と言葉を添えて改札を通ろうとする苗字さんの腕を掴んで引き止めた。
僅かに驚いて振り向いた苗字さんに僕は、大きな我儘を言った。
目黒「元気って、呼んでください。今だけ。」
細い腕を掴んだまま縋るように見つめる僕に柔らかく微笑んだ苗字さんは…、
名前「…おやすみ、元気。」
ほううううう……、
盛大ににやけそうになる表情筋にこっそり鞭を打って、僕は苗字さんを見つめる。
目黒「おやすみなさい、名前さん。」
僕の言葉に驚き、僅かに頬を赤く染めた苗字さんは……、
いや、名前さんは、改札の向こうへ歩いていった。
おやすみ、元気…。
幸せだ……、と考えていたら、いつの間にかソファで眠っていた。
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咲笑(プロフ) - 結と名乗る者（id: 361e8a8309）のコメントは、すべて削除致しました。感想と呼べるものではないコメントをいくつも一方的に残す行為は、悪質であり、異常としか言いようがありません。今後は私の作品の閲覧及びコメントを残す行為はおやめください。 (2023年4月22日 7時) (
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作者名：咲笑 | 作成日時：2020年3月27日 20時
