仕事を忘れて、 ページ24
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名前 side
向かいから歩いてきた男が目黒くんとぶつかる。
たまにこういう人もいるよな…と思って、特に気にせずに歩く。
でも、目黒くんの様子がおかしい。
小さく呻くような声が聞こえたと思ったら、脇腹を押さえて膝を付く。
倒れる目黒くんを抱き留めて、手で押さえるところを見ると。
指の隙間から次々と赤黒い液体から流れていた。
目黒くんの身体を支えながら、足早に立ち去る男を見る。
あいつは…、今まさしく探している男、田崎だ。
どうしよう。
このまま目黒くんを置いて追い掛けることは……。
そのとき、辺りの騒ぎに気が付いて、自転車で向かってくる田口さんの姿を見つけた。
田口さんは、桜川橋交番に勤務している、中井戸さんの先輩。
『田口さん！捕まえて！』
走り去る田崎の姿を捉えた田口さんは、再び自転車に乗って追い掛けていった。
腕の中の目黒くんを見ると、すっかり唇の色をなくしている。
『目黒くん、大丈夫だからね…！』
遠くから聞こえてきた救急車のサイレンに、小さく安堵の息を吐く。
目黒「う……、苗字さん……っ、」
手をきつく握り締めながら、目黒くんと視線を合わせる。
『目黒くん、死んじゃ駄目だからね。』
今度は飲み過ぎても怒らないから。
思わずそう呟くと、目黒くんは嬉しそうに笑って目を閉じた。
固く目を閉じた目黒くんの身体を揺らしていると、
救急車と共にパトカーが到着して、中から中井戸さんと桂さんが駆け寄ってきた。
中井戸「めぐちゃん！しっかりせえっ！」
中井戸さんが目黒くんに大きな声で呼び掛ける。
桂さんも心配そうに見つめている。
救急隊員によって、ストレッチャーに載せられた目黒くん。
傍にいてあげたいけれど、私には捜査が待っている。
名残惜しい気持ちを堪えて、パトカーへ向かおうとすると、
中井戸さんに腕を掴まれてしまった。
中井戸「名前ちゃんはめぐちゃんの傍にいてあげて。」
『え、でも…。』
中井戸「めぐちゃんは名前ちゃんにいて欲しいと思ってるんや。」
何かあったら連絡するから、と再びパトカーへ戻っていった中井戸さんと桂さん。
私は救急車に乗り込んで、再び目黒くんの手を握り締めた。
酸素マスクを付けて、真っ青な顔で目を閉じている目黒くん。
目黒くん、ここにいるからね。
目黒くんの無事を願うのは、私は上司だからだろうか。
それとも、仕事を忘れて、目黒くんを想っているのだろうか。
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咲笑(プロフ) - 結と名乗る者（id: 361e8a8309）のコメントは、すべて削除致しました。感想と呼べるものではないコメントをいくつも一方的に残す行為は、悪質であり、異常としか言いようがありません。今後は私の作品の閲覧及びコメントを残す行為はおやめください。 (2023年4月22日 7時) (
レス) id: 00e1bb9bdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲笑 | 作成日時：2020年3月27日 20時
