私の過去。2 ページ16
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名前 side
予想していたとおりというか、なんというか。
法律家だと豪語するんなら、その軽い口をどうにかしてよと思うくらい喋る。
刑事課のみんなは、興味津々に金城くんの話を聞いている。
中井戸さんなんて、席から立ち上がってるし…。
目黒くんも。
聞きたいけど聞きたくないっていうような複雑な表情をしている。
金城「苗字は、同じ年に司法試験に受かって。司法修習が一緒だったんですよ。」
それから司法修習中に検察庁から入庁を薦められただの、
修習が終わった後、検事にはならないどころか、法曹界自体から去っただの。
それはもう「他に質問はありますか」と聞いて、
誰からも「何もありません」と言われるくらい、イチから全て丁寧に話していた。
金城くんが話したことに、嘘は何もない。
確かに私は司法試験に合格して、検事になる予定だった。
でも結局は、国家試験を受けて、こうして警察官として働いている。
この選択に後悔はしていないし、今の仕事に何の不満もない。
だけど、こうして突然やってきた昔の同期に
自分の過去をペラペラと喋られて、気分が良いわけない。
ざわざわとした雰囲気が嫌になって、外の空気でも吸いに行こうかと席を立つと、
金城くんは私の近くにやってきて、柔らかな手付きで私の腕に触れた。
金城「お前もこうして警察に指示を出す検事になれたのに。」
その言葉にカチンと来て、少し距離を取ろうとした。
金城「そうだ。今日の夜、久しぶりに飯でも行こう。」
金城くんの言葉に顔を上げて断ろうとした。
その時。
目黒「……すみません。」
足早に私たちのところにやってきて、私の腕を掴む金城くんの手を離させた。
そして私に子犬のような目を向ける。
その目はまるで、「僕を置いていくの？」と言っているようだった。
『金城検事、お仕事で来たのでは？』
私の言葉に苦笑いを浮かべる金城くん。
警察官は捜査官、検事は法律家。
確かにそうかも知れない。
警察官は法廷に単独で立つことはできない。
だからといって、法律家が偉いということではないと思っている。
特に、この仕事に就いてから強く実感している。
だからこそ、目の前にいるこの「法律家」の言うことが嫌だった。
『そして今夜ですが、仕事の件ですか？』
そうでなければお断りします、と続けると、
金城くんは「相変わらずだな」と言って、係長と別室に向かっていった。
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咲笑(プロフ) - 結と名乗る者（id: 361e8a8309）のコメントは、すべて削除致しました。感想と呼べるものではないコメントをいくつも一方的に残す行為は、悪質であり、異常としか言いようがありません。今後は私の作品の閲覧及びコメントを残す行為はおやめください。 (2023年4月22日 7時) (
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作者名：咲笑 | 作成日時：2020年3月27日 20時
