どうも、乙骨憂太の幼馴染です (ページ12)

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第9話ページ12

「おはよー。」

何も変わらない、いつも通りの教室。

だが、今日は三人の男子が席に着いていなかった。

「ん？今日棘と憂太とパンダは？」

「あー、任務とか言ってたぞ。棘は準一級だし、憂太は特級だし、パンダは適応性あるし。それなりに任務も多いんだろ。」

「何？憂太がいなくて寂しいってか？」

「そりゃ寂しいよ！小さい頃から毎日欠かさず会ってたんだから。」

もっと動揺するのを求めてたのにな...と真希は残念そうな顔をする。

「まあ、今日は二人でのんびり過ごそうぜ。たまにはうるさい奴らがいない日もいいだろ。」

「まあ、そだね！そういう日があってもいいか！」

「なあ、お前さ、憂太の事好きなんじゃねぇの？」

授業終わりの静まり返った教室に、真希の声が響き渡る。

「急にどうしたの？そんなこと聞くなんて、らしくないね。」

「いや、明らかにそういう風に見えるからさ、ずっと気になってたんだよ。」

「...好きだよ。嫌になるほどに。」

いつもは温厚でポワポワとしているAの表情が、一瞬で鋭くなった。

「でもね、駄目なんだよ。憂太と里香は婚約してるんだから。私だって、二人の事応援してるんだよ。里香は大切な幼馴染だから、ライバル視したいなんて思ってない。」

「でも、憂太は本当にそれで幸せなのかよ。もしかしたら、お前と一緒になりたいって思ってるかもしれな...「違う」

「それは違うよ、真希。...知ってる？憂太って私のことはAって呼ぶけど、里香のことは里香”ちゃん”って呼ぶんだよ。それってさ、私の事”女の子”じゃなくて、”幼馴染”って思ってるってことだよね。そしてその呼び方は、今もなお続いてる。分かる？この意味。」

「お前なぁ、いくらなんでも考えすぎじゃねえのかよ。
そんなん、ただの偶然に決まってるだろ。
たとえ憂太がお前の事好きじゃなかったにしても、気持ちは伝えといたほうがいいと思うけどな。
いいのかよ、このまま後悔して。」

「...私だって、伝えられるもんならとっくに伝えてるよ。
でも、それも駄目って知ってるから。
まずまず、二人の恋を応援してた私が憂太の事を好きになった時点でアウトなの。
ましてやそれを憂太に伝えるなんて、もってのほかだよ。」

「...あっそ。じゃあ好きにしろよ。」

お前に、私の気持ちが分かんのかよ...

真希は、歯を食いしばりながら教室を出た。