後輩のゴヌクくん (ページ44)

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居酒屋から家までの距離を半分くらい歩いたとこで背中がもぞもぞする

『っんー、ここはどこでふかー』

どうやら酔っ払いが起きたようだ

ゴヌク「もう少しで家ですよ〜」

『その声は！ゴヌクくんだな〜ははは！』

ゴヌク「飲み過ぎですよ」

『ごめんねごめんね〜！思わずいっぱい飲んじゃったような気がします！』

普段とは違う明らかに高いテンションだ

酒癖はテンションが上がると俺の心の中のAさんメモに追加する

『ゴヌクくん！私寂しかったんだよ〜。あれから全然会えないんだもん！』

急なその言葉に思わず驚き足を止める

ゴヌク「俺に会いたいと思ってくれてたんですか？」

『当たり前じゃん！好きって言ったじゃんー！』

そしてAさんの腕が後ろから俺の首に優しく周り距離がさらに近くなる

心臓が跳ね上がる

『もっと電話もしたいし会いたいよ…』

急にしおらしい声で言うもんだから言葉がつっかかって出てこない

今が夜でよかった

このどうしようもない赤い顔を見られなくて済む

止まっていた足をゆっくり進め素直に気持ちを伝える

ゴヌク「俺も…めちゃくちゃ会いたかったです」

そう言えば嬉しそうな声で『ゴヌクくんも私と一緒だったんだね』と言う

ダンス大会の練習が忙しいせいで連絡もなかなかできなかったが、無理してても時間を作ろうと心に決めた

Aさんと出会う前は彼女ができてもダンスばっかりで振られるのがオチだった

けど、今は完全に俺の優先順位はダンスよりもAさんが圧倒的に上だ

ゴヌク「夜遅くなっても会いに行っていいですか？」

『いいよ〜！』

ゴヌク「電話もしていいですか？」

『もちのろん！ゴヌクくんならいつでも大歓迎！』

ゴヌク「キスしてもいいですか？」

『い……ダメです…』

ゴヌク「今いいって言いかけましたよね笑」

『違うもん！』

ゴヌク「Aさん好きです」

『…っ！？急にそういうこと言うのずるいよ…』

俺の首に顔を埋めてくるから髪が顔に当たって少しくすぐったい

ゴヌク「Aさんのほうがずるいです…」

どれだけ好きにさせたら気が済むのだろう

両想いのはずなのに何もできないこの関係がもどかしい